全部の歯をインプラントにする費用はどのくらい?治療法別の費用相場
2026.01.27

機能性、審美性が高く、自分の歯に近い感覚が得られることで人気のインプラント治療。自分の歯を失った際、入れ歯やブリッジなどの他の治療法があるためインプラント治療は保険適用外となり、費用面で二の足を踏んでしまう人も多いようです。
1本程度ならまだしも、すべての歯、もしくはほとんどの歯をインプラントにしたい場合は一体どのくらいの費用がかかるものでしょうか。
大部分の歯をインプラントにしたい場合、治療法はいくつかの選択肢があります。それぞれの治療法の詳しい説明と共に、そのメリット・デメリット、費用相場、コスト削減の方法などをご説明していきます。
全部の歯をインプラントにする方法と費用相場
自分の歯をすべて抜歯してインプラントにする方法には、いくつか種類があります。
費用や治療後の使用感などが変わってくるため、患者様のご予算や生活スタイルなどと照らし合わせて選択することが大切です。
通常のインプラント治療
まずは、一般的なインプラント治療についてご説明します。
自分の歯根を残すことが不可能となり、抜歯した欠損箇所に人工歯根を埋めて人工歯を固定するのがインプラント治療の主な内容となります。

費用は1本あたり30~50万円程度が相場です。
関連記事:インプラントの相場はいくら?費用の内訳と安く抑えるポイントも紹介
人間の歯は全部で28本(親知らずを除く)ですので、それを1本1本全部インプラントにする(総インプラント)と、かなり大きい金額となってしまうのが現実です。

インプラント手術は顎の骨に穴を開けて金属製の人工歯根を埋めますので、それだけの数を骨に打ち込むとなると身体的負担も大きくなりますし、治療期間も長くなります。
ただ、インプラントは自分の歯に近い感覚を取り戻せる画期的な治療法とはいえ、やはり自分の歯に勝るものはありません。
健康な自分の歯まで全部抜歯してしまうよりも、歯根が残せない箇所だけを1本1本インプラントにするほうがベター、という考え方もひとつと言えます。
関連記事:インプラント治療の基本的な流れは?手術方法の違いや治療期間も解説
インプラントはどのような構造でできている?構成するパーツや各パーツの種類
オールオン4(オールオン6)
では、すべての歯を抜歯した場合は総インプラントにするしか方法が無いのかといえば、そういうわけではありません。
歯列すべてがひとつに繋がった義歯を作り、4箇所もしくは6箇所だけインプラントを埋め込んで義歯と固定する方法があります。
これをオールオン4、オールオン6といいます。

28本分のインプラントをひとつひとつ埋め込むよりも、4本または6本分のインプラントで済みますので、費用面でも身体的負担の面でもメリットがあります。
費用相場は歯列1列で180~400万円程度となります。
関連記事:インプラント「オールオン4」の費用は?相場や注意点も解説
インプラントオールオン4を後悔しないために!費用やデメリットとメリットを解説
インプラントオーバーデンチャー
オールオン4、オールオン6は人工歯根と義歯をしっかり固定していますので、自分で取り外しができない構造になっています。
取り外しができないということは、歯茎と義歯との隙間にプラークが溜まらないように、日々の歯磨きを細部までしっかり行う必要があります。
プラークが溜まってしまうと、そこからインプラントの内部まで細菌が侵入して「インプラント周囲炎」と呼ばれる病気になってしまうので、丁寧な歯磨きが非常に重要となります。
関連記事:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説
しかし、「インプラントオーバーデンチャー」という方法でしたら入れ歯のように自分で取り外してお手入れができます。
顎の骨に2~4本のインプラントを埋め込み、義歯との固定方法は磁石やボタンなど、ご自身で取り外しができる素材を使います。

一般的に「総入れ歯」と呼ばれているものは義歯と歯茎を入れ歯専用の接着剤で簡易的に固定していますが、インプラントオーバーデンチャーはその接着剤の代わりに磁石やボタンで固定する構造です。
入れ歯専用接着剤は「外れやすい」「熱いものを食べると接着剤が溶け出して不快に感じる」などのデメリットがあります。
インプラントオーバーデンチャーはこのような悩みを解決できる治療法となります。
費用相場は歯列1列で50~150万円程度です。
インプラントブリッジ
インプラントオーバーデンチャーが「入れ歯のインプラント版」だとしたら、インプラントブリッジは「ブリッジのインプラント版」となります。
まず、ブリッジというのは欠損箇所に人工歯を置くために、両側の歯を削って被せ物をして橋渡しをする治療法のことです。

この土台となる両隣の歯をインプラントにして橋渡しをするのが「インプラントブリッジ」という治療法になります。
欠損箇所が広範囲の場合やすべての歯を抜歯した際には、インプラントを6~8本埋めて、そこを土台とします。
オールオン4やインプラントオーバーデンチャーよりもインプラント本数が多いので安定感が増し、咀嚼力を高めることができるのがメリットと言えます。
費用相場は250~400万円程度となります。
関連記事:歯を全部インプラントにできる?おもな治療方法や特徴・注意
全部の歯をインプラントにするメリットとデメリット
全部の歯を抜歯してインプラント治療によって人工歯を固定する方法は以上のように数種類あり、ご予算や生活スタイルなどと照らし合わせて選択することができます。
しかし一方で、すべての歯を抜歯してしまうことのデメリットも存在します。
ここからはすべての歯を抜歯してインプラントにすることのメリット・デメリットをそれぞれに挙げていきます。
メリット
残っている自分の歯をすべて抜歯するということは、歯並びなどをリセットできるということです。
総入れ歯とは違い、インプラントは天然歯とほとんど見分けがつかないほどの審美性がありますので、一見すると「自分の歯がすべて残っていて、色も歯並びも綺麗な人」という印象になります。
また、オールオン4、6、インプラントオーバーデンチャー、インプラントブリッジは抜歯した箇所に1本1本インプラントを埋めるよりも費用が抑えられる可能性があります。
そのほうが埋入するインプラントの数も少なく済みますので、体への負担も軽くなります。
デメリット
今や多くの歯科医院でインプラント治療を行っていますが、すべての歯をインプラントにする治療を行っている歯科医院はあまり多くありません。
インプラント治療はそもそも一般的な歯科治療とは全く異なる知識や経験、技術が必要です。
1本だけのインプラントならまだしも、複数個所にインプラントを埋め込む治療となると大がかりな設備も必要となりますし、歯科医師にも非常に高い技術が求められます。
すべての歯をインプラントにしたい場合、通える範囲のエリアに対応可能な歯科医院が無かったという可能性があります。
また、複数のインプラントを埋め込むことができない体質の方がいることもデメリットとして挙げることができます。
インプラントを埋入する場合、部品がしっかり固定できるだけの骨量が必要です。
骨量を増やすための処置(骨造成)ができる歯科医院もありますが、治療期間が長引くことを視野に入れておきましょう。
インプラントの費用が高くなる理由

インプラント1本を埋めるだけでも30~50万円、すべての歯をインプラントにする場合はその数倍もの治療費になってしまうことに躊躇を感じてしまう人も多いでしょう。
そもそもなぜインプラント治療はそんなに高額になってしまうのでしょうか。
その最も大きな要因として、保険が適用されない治療法だから、ということが挙げられます。
歯を欠損した場合に、入れ歯やブリッジなど他の治療法があるという理由からです。
それでなくても、なぜこんなに高額になってしまうのか、そこには様々な理由が含まれています。
インプラントに用いる素材の値段が高いから
インプラント治療に使用される部品は、人工歯根とアバットメントには主にチタンが、人工歯には主にセラミックが使用されます。
チタンは人工関節など、人体の中に埋める部品として多くの実績があり、生体親和性の高さが実証されています。磁性を持たない金属ですので、金属アレルギーが起こりにくいことも長所のひとつです。
セラミックは自分の歯と比べても遜色ないほどの審美性があり、耐久性や機能性も優れています。
これらの部品は不純物が無く非常に高品質となりますので、それだけ価格も上がってしまいます。
中には中国や韓国で大量生産している安価な部品もありますが、品質保証の面で安全とは言えず、そのような部品を使用している歯科医院はむしろ避けたほうがいいでしょう。
世界中で多くの患者様が使用している高い実績があり、評価の高い有名メーカーは自ずと価格も上がってしまいます。
関連記事:インプラントメーカーはどこがいい?違いや選び方のポイント
事前の準備に費用がかかるから
インプラント治療は歯茎を切開し、顎の骨を削って部品を埋め込むという難易度の高い大がかりな治療です。
顎の骨は人それぞれ大きさや密度も異なり、中にはインプラント部品を埋めることが不可能な人もいます。
それを調べるためには、歯科治療で一般的に使用されているレントゲン検査では限界があり、CT検査などを通して綿密に骨の状態をチェックしていきます。
保険が使える治療ではこのような検査もすべて自己負担額は1~3割で済みますが、保険が適用されないインプラント治療では検査費用も全額自己負担となります。
関連記事:インプラント治療で用いるレントゲンの種類とは?歯科用CTの必要性についても解説
あごの骨の状態によっては追加手術が必要になるから
先ほど「骨造成」という処置があることをお伝えしました。
顎の骨の大きさや密度は人それぞれ異なります。生まれつきのものもありますし、加齢や病気などで骨が脆くなってしまっているケースもあります。
そのような患者様の場合、インプラントをしっかり固定するために骨造成手術という処置を行います。

この場合、骨造成手術が不要な患者様と比べて、数十万円~数百万円程度の費用がプラスされます。
関連記事:インプラント治療ができない人の特徴とは?対処法や代替治療法も紹介
インプラント治療の費用負担を軽減するための3つのポイント
インプラント1本のみでもかなりの費用がかかるのに、すべての歯をインプラントにすると更に大きな金額がかかってしまうのは事実です。
しかし、少しでも患者様の負担額を減らすコツもありますので、ご紹介していきます。
医療費控除を活用する
日本には「医療費控除」という制度があります。
保険適用内外にかかわらず、1月1日~12月31日の間に支払った治療費が1世帯で合計10万円を超えた場合(年収が200万円の場合はその金額の5%以上)に、納めた税金が返金される制度です。

インプラント治療は10万円を超える治療費となりますので、ぜひこの制度を利用して税金の還付を受けましょう。
関連記事:インプラント治療は医療費控除の対象?還付金の計算・申請方法・注意点も解説
デンタルローンの利用を検討する
治療費の支払い方法は歯科医院それぞれで、現金のみのところもあれば、クレジットカードや電子マネーが使用できるところもあります。
中には「デンタルローン」の商品を扱っている歯科医院もあります。
デンタルローンとは、歯の治療で支払った費用を金融機関が一旦立て替えて、患者様はその金融機関に毎月分割で返済していくローン商品のことです。
クレジットカードの分割払い手数料や金利と比べて、デンタルローンの金利のほうが安い傾向にあるので、お得に利用できるのが利点です。
住宅ローンと同じように、総支払い額は少し増えてしまっても毎月の収入から少しずつなら支払い可能という方は多いはずです。
ただし、デンタルローンを扱っている歯科医院はまだ少ないのが現状ではあります。
関連記事:インプラント治療の費用は分割払いできる?3つの方法とメリット・デメリットを全解説
複数の歯科医院を比較検討し、信頼できる医院を選ぶ
保険適用外の自由診療であるインプラント治療は、歯科医院それぞれが自由に価格を設定しています。
使用している機器やスタッフの人数、立地、利益率など、かかっている費用もそれぞれ異なります。
どの歯科医院でインプラント治療を受けるか選ぶ際には、1箇所で決めてしまうのではなく、複数の歯科医院で見積りを取ることも賢いコストダウンの秘訣です。
しかし、金額面のみで決めてしまうと、あとになって後悔に繋がってしまうことにもなりかねません。対応面や施設の充実度、自宅や勤務先からの通いやすさなど、さまざまな視点で比較・検討することが最も重要です。
「いちばん安かったから」という理由で決めてしまうと、粗悪な部品を使用されてしまったり、不具合が出た際に追加費用が次々に加算されてしまうなど、結果的に高い買い物になってしまうおそれがあるからです。
関連記事:インプラント治療の費用を安くする方法は?費用相場や高額な理由も解説
インプラント以外に全部の歯を補う方法は?

全ての歯を失った場合にインプラント以外での治療法といえば、入れ歯になります。
総入れ歯はズレやすい、接着剤が不快、などのデメリットがあるのは確かです。一方で、保険適用内の人工歯を使用すれば5千円~2万円程度で治療が受けられる手軽さもあります。
まずは総入れ歯を使用してみてから総インプラントにするかどうかを検討してみることもひとつでしょう。
まとめ
自分の歯をほとんど失い、全て抜歯してインプラントにするときの費用などを解説しました。
28本すべてをインプラントにするとすごい費用に……と考えていた人にとっては、インプラント数本で歯全体をカバーできる方法が複数あることをお伝えできたと思います。
骨の状態やご予算、生活スタイルなどによってベストな選択は変わってきます。
今の歯の状態がどうなっているのか、信頼できる歯科医院でまずはしっかりと確認し、現状把握をしてから歯科医師と相談して治療法を決めていきましょう。






