インプラントの相場はいくら?費用の内訳と安く抑えるポイントも紹介
2025.05.28
インプラントは入れ歯やブリッジに比べて機能性や審美性が高く、歯を失った人にとって選択肢のひとつに入れたい治療法です。
しかし、多くの人がネックだと思っているのが、その治療費の高さです。保険が適用できる入れ歯などと違い、全額自己負担となってしまうインプラントの治療費は金額が一気に上がります。
「一体どれくらい高いの?」という疑問にお答えするとともに、その内訳や高額になる背景、コストダウン方法もあわせてお伝えします。
インプラント1本あたりの費用相場は約30〜50万円
まず先に、インプラント1本あたりの費用相場をお答えします。様々な条件によって金額差が生まれますが、一般的には30~50万円が相場と言えるでしょう。
保険が適用される治療と違って自由診療となるインプラントは各歯科医院が自由に価格を設定できるため、費用にバラつきが出ます。同じ歯科医院であっても、患者様の口腔状況や体質によっても処置内容が変わってくるため、治療費に差が生じます。
歯科医院の立地やスタッフの人数、設置している機器、利益率などによって変動しますので、複数の歯科医院で見積りをもらうことが大切です。
インプラント治療の費用内訳
数千円~数万円程度で治療できる入れ歯やブリッジと違って一気に金額が上がるインプラント。「この金額じゃちょっと……」と躊躇してしまう人は多いと思います。
保険が適用できないとはいえ、インプラント治療はなぜこんなに高額になってしまうのでしょう?その内訳を挙げてみます。
- レントゲン撮影:5,000円〜1万円
- CT撮影:1万円〜3万円
- 診断費用、治療計画の策定費用など:5,000円〜2万円
- 単純抜歯:5,000円〜8,000円
- インプラント体(人工歯根)の費用:10万円〜25万円
- アバットメント(インプラント体と人工歯をつなぐ支台):3万円〜8万円
- 手術費用など:5万円〜10万円
- プラスチック製の仮歯:5,000円〜1万円
- 人工歯:10万円~20万円
※患者様の口腔状況により変動します
今回はとくに金額の大きい「検査・診断料」「抜歯・手術費用」「インプラント本体と人工歯の費用」「術後のメンテナンス費用」について説明いたします。
検査・診断料
- レントゲン撮影:5,000円〜1万円
- CT撮影:1万円〜3万円
一般的な歯科治療で行われる検査は、レントゲン検査のみがほとんどです。歯茎の中に埋まっている歯根の形がある程度把握できれば治療が行えるからです。
しかし、インプラントは歯茎の奥にある顎の骨を削る手術を伴いますので、レントゲン写真のみで顎の骨の厚みや向き、密度などを正確に把握することが困難です。
手術の前に綿密な計画を立てたり、安全性を確保するためにはCT検査が必要となります。
保険が適用される治療でしたらCT検査費用も医療保険から給付金が出ます。しかしインプラントは保険適用外のため、CT検査の費用も全額自己負担となります。
抜歯・手術費用
- 単純抜歯:5,000円〜8,000円
- 手術費用など:5万円〜10万円
インプラントを埋め込むための手術費用となります。
歯茎を切開して顎の骨に穴を開け、そこにインプラント体という人工歯根を埋め込み、アバットメントと呼ばれる部品を繋ぎ、歯茎に露出させます。そこに人工歯を装着する手術になります。
抜歯は、歯の一部が歯茎に埋没している複雑抜歯、歯が骨の中に埋没していて骨を削らないと抜けない埋伏歯抜歯など、患者様の状況によって抜歯方法が変わり、費用も変わってきます。
インプラント本体と人工歯の費用
- インプラント体(人工歯根)の費用:10万円〜25万円
- アバットメント(インプラント体と人工歯をつなぐ支台):3万円〜8万円
- プラスチック製の仮歯:5,000円〜1万円
- 人工歯:10万円~20万円
インプラントの部品に使用されている素材はチタン製が主流で、人体の中に埋め込んでも骨などと結合しやすく、安全性が証明されている素材になります。
金属の純度が高く、品質が高いために費用も比例して上がります。
手術で人工歯根が埋入されたら一旦仮歯を装着して、経過観察期間を経てから本歯となる人工歯を装着します。この人工歯も素材がいろいろあり、ご要望によってお選びいただけます。
こちらも純度の高い素材を使用しているため、保険適用内で使用されるレジン製(硬質プラスチック)に比べて費用がかなり上がってきます。
術後のメンテナンス費用
- 3,000円~1万円程度
インプラント治療は、手術が完了して人工歯が装着されたらそれで終わり、ではありません。
インプラントが埋まっている箇所は天然歯に比べて歯周病にかかりやすい状態になるため、不具合が特に生じていなくても定期的にメンテナンスを続ける必要があります。
その他、グラつきなどの不具合が無いか、嚙み合わせに問題が無いかなどを確認していきます。
関連記事:インプラント治療の基本的な流れは?手術方法の違いや治療期間も解説
インプラントのメンテナンスにかかる費用とは?相場や必要性も解説
インプラント治療の費用が高額な理由
他の歯科治療費に比べてインプラント治療がこんなに高額になってしまうには、理由があります。
1.保険が適用されない
まず最も大きな理由は、インプラントは保険が適用されない治療であることです。
歯科治療以外でも、私たちが何かの診療にかかる際、必ず保険証を提出すると思います。企業にお勤めの方なら、その企業が加入している健康保険組合の保険証、自営業などの方は国民健康保険の保険証を医療機関に提出すれば、治療費の1~3割の自己負担額で診療が受けられます。
しかし、インプラント治療はそれらの医療保険が使えない治療になっています。
抜歯したあとに人工歯を入れる治療法として、他に入れ歯やブリッジなどの方法があることがその主な理由です。
何の給付金も出ず、100%全額を支払わなければならないことが、インプラント治療費が高額になってしまう最も大きな理由と言えます。
2.最新の設備や高度な技術が必要
インプラント手術は歯科医院にある一般的な治療椅子ではなく、専用の手術設備、手術室が必要となります。
先ほどご説明したCT検査機器の他にも、手術中に異変が起きてもすぐに分かるような生体モニターや電気メスなどの手術設備に高額な設備投資がかかっています。
また、インプラント手術・治療を行うためには専門の知識や経験が必要不可欠です。国内外の学会に出席して最新知識を共有するなどの費用が発生している背景もあります。
3.インプラント本体の材料が高い
さきほどお伝えしたように、インプラントに使用する部品の素材は、人体に埋めても安全であることが証明されている純度の高いものです。
インプラントは耐用年数の長さも長所のひとつです。10年以上問題なくご使用いただけるよう、使用する部品の素材がどうしても高額になっていきます。
4.上部構造の材料が高い
いわゆる「被せ物」と言われる人工歯に使われるセラミックやジルコニアも硬度が高く、耐久性に優れている品質のいいものです。
固いものを噛んでも破損せず、天然歯と変わらない審美性を確保できるという大きな利点のある素材ですので、原価もそれなりに高くなってしまいます。
関連記事:インプラントの素材の種類とは?パーツ別に各素材のメリット・デメリットを紹介します
4.治療期間が長い
インプラントの治療期間は、一般的に6ヵ月~1年程度です。入れ歯やブリッジは1~3ヵ月程度の治療期間ですので、それらに比べてインプラントは長期で治療に通っていただく必要があります。
カウンセリングからスタートして、検査、抜歯、手術、経過観察、術後チェックなど、通っていただく回数が必然的に多くなりますので、その点でも入れ歯やブリッジよりも費用が嵩む原因となります。
関連記事:インプラント治療の期間はどれくらい?全体の流れを全7ステップで詳しく解説
インプラント治療の費用を抑えるためのポイント
いろいろな理由から、どうしても治療費が高くなってしまうインプラント。歯1本につき数十万円と言われると簡単に出せる金額ではないと感じてしまうはずです。
しかし、医療制度を利用してコストカットをしたり、無理のないお支払方法を選択する方法もありますので、ご紹介していきます。
医療費控除を活用する
日本には「医療費控除」という制度があります。1月1日~12月31日の間に、診療で支払った金額が10万円を超えた場合(年収が200万円未満の場合は年収の5%を超えた場合)に、納めた所得税が返金(還付)されたり、翌年度の住民税が減額される制度です。
インプラントは1本で必ず10万円を超えますので、この制度が利用できます。
どれくらいの金額が還付・減税されるかは、以下の計算式をご利用ください。
関連記事:インプラント治療は医療費控除の対象?還付金の計算・申請方法・注意点も解説
デンタルローンや分割払いを利用する
高額な買い物をする際に、分割払いをしたりローンを組んだりするように、歯科治療でも分割払いやローンを利用することができます。
クレジットカードでの支払いが可能な歯科医院なら、支払いの際に分割払いを選択できます。
取り扱いができる歯科医院は限られてきますが、金融機関が販売している「デンタルローン」に申し込むこともできます。
クレジットカードで分割払いをする際の手数料や利息よりも低い金利で金融機関からの融資を受けることができます(審査あり)。
また、それ以上に取り扱いをしている歯科医院は限られてきますが、「院内分割」というお支払方法を選べる歯科医院もあります。
歯科医院と患者様が直接契約を結ぶ分割払いで、当院の場合は手数料も利息も無しでご利用いただくことが可能です(審査あり)。
分割払いやローンはトータルで支払う金額は増えてしまいますが、月々の収入の中から無理のない範囲で少しずつお支払いいただくことで、諦めていたインプラント治療が現実になる方は少なくないと思います。
インプラント治療の費用に関するよくある質問
インプラント治療の費用に関して、よくいただくご質問にお答えしていきます。
Q1.前歯と奥歯で費用は変わりますか?
基本的にインプラント治療はどの箇所の歯でも治療が可能ですが、奥歯よりも前歯のほうが費用が高くなる傾向があります。
前歯は奥歯に比べて歯茎や顎の骨が薄く、インプラントを埋めるには奥歯よりもさらに高い技術が必要になります。
奥歯に比べて、より緻密な検査や治療計画が必要なため、費用も上がっていきます。
関連記事:前歯のインプラントのメリット・デメリットとは?後悔しないためのポイントを全解説
Q2.歯医者によってインプラント費用が違うのはなぜですか?
費用相場の項目でお伝えしたように、自由診療であるインプラントは、各歯科医院が自由に価格設定できます。
立地、設備、規模、スタッフの人数、歯科医師の人数、利益率など、様々な要素によって治療費が変わってきます。
よって、インプラント治療を受ける歯科医院を決める際には、複数の歯科医院で見積りを取ることが重要です。歯科医院それぞれの価格差を把握することで相場感を掴むことができますし、対応や設備などの違いも見えてくるはずです。
インプラント治療の費用相場を理解して賢く選択しましょう
「インプラント治療を受けてみたいけど、大体どれくらいかかるんだろう」という疑問にお答えしてきました。
抜歯となった際の第3の選択肢として定着してきたインプラントですが、費用の面で諦めざるを得なかった、という方もいらっしゃるはずです。
しかし、入れ歯は咀嚼力が弱かったり、見た目やにおいが気になるというデメリットがあります。ブリッジは健康な両隣の歯を削らなくてはいけないという大きな欠点があります。
「自分でも無理なく支払える方法があるなら、ブリッジにしなかったのに」と後悔してしまう前に、インプラントの正しい相場を把握し、ぜひ賢い選択をしてください。
お支払方法のご相談は、本町通りデンタルクリニックでいつでも承っております。お気軽にお問い合わせください。