インプラントメーカーはどこがいい?違いや選び方のポイント

2025.09.22

 

自分の歯を失った箇所に人工歯を入れる治療方法、インプラント。入れ歯やブリッジと違って、人工歯根を埋めた上に義歯をかぶせるので、固定されやすく噛む力を支えやすい構造になっています。

 

この人工歯根、いろいろなメーカーがあるのをご存知でしょうか?

 

歯科医院ごとに扱っているメーカーが違いますので、治療を依頼する歯科医院選びの際に「どのメーカーを扱っているか」は割と重要な比較項目にもなります。

 

世界的に有名で、多くのシェアを占める4大インプラントメーカーを筆頭に、それぞれの特徴や違いなどを詳しくご紹介していきます。

インプラントメーカーの違いとは? 

日本では、保険が適用される入れ歯やブリッジを選ぶ人が多い現状ですが、インプラント治療を早くから採り入れていた欧米には、インプラント部品を作っているメーカーが多くあります。

 

今や日本でもインプラント部品を製造しているメーカーは多く、国内メーカーが作るインプラントは30種類以上となっています。世界的に見ればインプラントの種類は100種類以上にも及びます。

 

もちろんそれらすべて、各国が定めている安全基準をクリアしているものではありますが、様々な商品に「安かろう悪かろう」のものが含まれているように、インプラントも決してその例外ではありません。

 

インプラントは体の中に埋め込むものですし、10年以上も付き合っていくものです。

 

多くの種類の中でも、特に安全が保証されていて多くの歯科医院に選ばれているものを選択することが重要です。

 

そして各メーカーによってそれぞれに特徴は少しずつ異なります。どのメーカーがどんな特徴を持つのか、比較していきましょう。

インプラントの種類と特徴

「インプラントにも様々なメーカーがあって特徴も様々」といっても、どこがどんなふうに違うのでしょうか。

インプラントの構造

まず、インプラントに使用する部品から説明していきましょう。

 

インプラントの構造は、主に3つの部品で成り立っています。

 

 

顎の骨を削った部分に埋め込む人工歯根が「インプラント体」、インプラント体と繋いで歯茎に露出させる支柱部分が「アバットメント」、そしてアバットメントに固定するのが「人工歯」です。

 

各メーカーや各商品によって、インプラント体とアバットメントの形状は異なりますので、インプラント体とアバットメントを別メーカーのものにすることはできません。必ず1セットとして使用します。

 

中には、インプラント体とアバットメントが一体化しているものもあります。

インプラントの材料

インプラント体とアバットメントの材質は、主に以下の3種類です。

 

  • 純チタン(高い生体親和性があり、骨と結合しやすい)
  • チタン合金(純チタンより強度がある)
  • チタン・ニッケル合金(成形しやすいが金属アレルギーのリスクが高い)

 

どの素材も、インプラント治療以外の手術によく使用される金属で、多くの実績があるので安心して使用できることが証明されています。

 

チタンは磁性を持たない金属ですので、金属アレルギーをお持ちの方も安心して使用できます。

 

しかし、「それでも心配」という方には、「ジルコニアインプラント」というものもあります。ジルコニアは金属ではありませんので、金属アレルギーが出ることはありません。

 

しかし、日本国内ではまだジルコニアインプラントを扱っている歯科医院が少ないのが現状です。

インプラントの形状

顎の骨に埋め込むインプラント体には、様々な形状があります。その主な4種類は以下になります。

 

  • スクリュータイプ(ねじ込み式。安定性が高く一般的)
  • シリンダータイプ(円筒形。手術時の負担が抑えられる)
  • バスケットタイプ(中が空洞になっているタイプ。インプラント内部まで顎の骨が入り込む
  • ブレードタイプ(薄い板状。骨量が少ない、骨が小さい人向けの特殊形状)

 

一般的に使用されるものは、スクリュータイプとシリンダータイプが主流となっています。

インプラントの表面処理

インプラント体は、形状の他に表面加工の方法もそれぞれです。

 

  • ブラスト処理(表面を粗くして骨との結合を強化)
  • 酸処理(ブラスト処理で使用したブラスト材を洗い流す処理)
  • 酸化処理(酸化チタンを付与してチタンの表面に凹凸を作る)
  • 機械研磨処理(研磨処理によってインプラントの表面をなめらかにする)

 

この4種類の中の一つではなく、複数を組み合わせるパターンもあります。

 

患者様の骨の状態や体質などにより、歯科医師のほうで適切なタイプを判断します。

世界4大インプラントメーカーを紹介

 

今や日本でも多くの歯科医院がインプラント治療を行っていますが、トラブルが少なく、信頼できるメーカーのインプラント部品を使用しているところがほとんどです。

 

その「信頼できるメーカー」と推奨できる世界4大メーカーをご紹介します。

ストローマン

世界トップのシェアを誇るのが、スイスのストローマン社です。当クリニックもストローマン社製のインプラントを使用しております。

 

ストローマン社は1974年から医療現場で使用されている歴史があり、インプラントの研究活動にかけている費用が世界一高いこともあり、非常に信頼のおけるメーカーです。

ノーベル・バイオケア

スウェーデンのノーベル・バイオケアもストローマン社と並んで世界中で使用されているメーカーです。

 

ノーベル・バイオケア社の開発しているインプラントには様々な種類があり、患者様の口腔状態や体質に合わせてお選びいただけるようになっています。

 

ノーベル・バイオケア社のインプラントを入れて50年以上も再手術無しで使用し続けることができたという実績も持っています。

 

インプラントの耐用年数は一般的に10~15年と言われていますので、これがどれだけすごい実績か、お分かりいただけると思います。

アストラテック(デンツプライシロナ)

こちらもスウェーデンのメーカーで、アストラテック社と呼ぶのが一般的ですが、現在はアメリカのデンツプライシロナ社の傘下に入っています。

 

インプラント体のネジの切り込み部分が少なく、骨への負荷がかかりにくいことや、独特のくびれ構造によって周辺組織への負担が少なく、安定性が高まる工夫がされています。

ジンヴィ(旧ジンマー・バイオメット)

アメリカもインプラント先進国として有名で、アメリカ国内で多く採用されているのがジンヴィ社のインプラントです。

 

元々は「ジンマー・バイオメット」というアメリカの医療機器会社の一部門でしたが、インプラントの需要が伸びてきたため、分社化して現在は「ジンヴィ」と呼ぶのが一般的です。

 

ジンヴィ社の特長は、骨量が少ない、骨が柔らかいなど、インプラント体が定着しにくい体質の方にも有効な作りになっていることです。

日本・韓国のインプラントメーカーも注目

インプラント治療の先駆けは欧米ですが、近年は日本をはじめとするアジアでもインプラント治療は高い評価を得ています。

 

それを受けて、日本やアジア各国でもインプラント部品の開発・製造が積極的に行われています。

 

インプラント部品の主流である欧米メーカーは当然ながら欧米人の骨格をモデルにして部品を製造しています。しかし、アジア人の骨格は欧米人とは異なります。

 

日本や韓国で作られているインプラント部品はアジア人の顎に合いやすい形状ですので、選択肢の中に入れてみるのもいいでしょう。

京セラ(POIインプラント)

日本国内のメーカーとしてはNO.1のシェアとなる京セラ。誰もが知る企業ですので、信頼度もあります。

 

日本人の骨格に合わせたインプラント部品を開発・製造しています。

GC

日本とドイツでインプラントを開発・製造しているメーカーです。国産インプラントの中で唯一ISO(国際標準化機構)の基準に沿った工場で製造されているので、より安全性が高い部品と言えます。

オステム

韓国のメーカーであるオステム。アジアや太平洋圏ではシェア1位の信頼のおけるメーカーです。

 

アジア圏のみならず、今や世界中で使用されている実績を持っています。

 

関連記事:インプラントの有名メーカーとは?世界4大メーカーの特徴を全解説

インプラントメーカーを選ぶときのポイントは?

 

インプラント部品を製造しているメーカーは世界中に多くあり、自分の治療で使うインプラントをどこのメーカーにしたらいいのか、悩んでしまう人もいるかもしれません。

 

自分の骨格に合ったインプラントを選ぶためには、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

信頼と実績のあるメーカーを選ぶ

まずは、上記でご紹介した4大インプラントメーカーや国内メーカーがおすすめと言えます。

 

歯科医師が推奨する、多くの実績を持っているメーカーを選ぶようにしましょう。

通院予定の歯科医院での取り扱いメーカーを確認する

どのメーカーの部品を使用するかで、治療後のメンテナンスも変わってきます。

 

インプラント治療を依頼する歯科医院を決める際に、どのメーカーを使用しているのか確認しておくことも大切です。

メンテナンスのしやすさも考慮する

インプラントは、治療完了後にも定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受ける必要があります。

 

インプラント治療後に最も気をつけなければならないのは、「インプラント周囲炎」の発症です。

 

インプラント箇所は細菌が侵入しやすい状態になっているため、インプラント特有の歯周病「インプラント周囲炎」にかかるリスクがあります。

 

 

これを放置してしまうとインプラントが抜け落ちることにも繋がるため、早期発見のためにも定期メンテナンスが必要不可欠となります。

 

日本国内であまり流通していないメーカーの部品を使用している場合、その歯科医院が廃業をしたり、ご自身が引越しなどをした際に、メンテナンスに困ることがあります。

 

そのような事態を避けるためにも、ある程度の認知度があり、ポピュラーなメーカーを選んでおくとリスク回避になります。

 

関連記事:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説

自分に合ったインプラントメーカーを選ぼう

インプラント治療に使用する部品にも、様々なメーカー、様々な種類があることをご紹介してきました。

 

一人ひとり、顎の骨の量や固さ、大きさ、歯茎の厚みなどが異なります。それらの特性に合ったインプラントを歯科医師と相談しながら適切に選んでいくことが大切です。

 

インプラント治療自体が高額なため、患者様としては「できるだけ安く」と考えるのは自然なことです。そういったニーズに応えようと、「格安インプラント」を謳う歯科医院も中にはあります。

 

インプラント治療は各歯科医院で自由に価格設定ができるため、利益率も歯科医院によってまちまちです。

 

しかし、高品質で信頼できるメーカーの部品を使用していて、万全な設備を整えていれば、一般的な相場より大幅に価格が下がることはありません。

 

格安でインプラント治療を行っている歯科医院の中には、品質の定かではない部品を使用してコストを下げている背景があるかもしれませんので、充分にご注意ください。

 

関連記事:インプラントの相場はいくら?費用の内訳と安く抑えるポイントも紹介

 

そして、たとえインプラント部品が信頼できるメーカーのものであっても、それを埋入する歯科医師の腕が信頼できなければ元も子もありません。

 

まずは、インプラント治療を受ける歯科医師がどれだけの実績を持っているのか、どれだけ豊かな知識を持っているのか、歯科医院の設備や態勢が整っているかなどをしっかり確認しましょう。

 

その上で、使用しているインプラントメーカーを確かめ、納得・安心して治療を任せられる歯科医院を選ぶことが最も重要となります。

関連記事:インプラント専門医・歯科医院の選び方とは?押さえておきたいポイント11選を徹底解説

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