インプラントと差し歯の違いを6項目で比較|後悔しない歯科医院の選び方

2025.09.02

 

虫歯やヒビ割れなどで自分の歯を欠損したとき、どのような方法で人工歯を入れるか。入れ歯、ブリッジ、差し歯、インプラントなど、選択肢は複数あります。

 

機能性や見た目で優れているインプラントか、保険が適用できる差し歯かで迷った場合、どのような基準で選んだらいいのでしょうか。

 

インプラントのほうが適しているか、差し歯のほうが適しているか。残っている歯の状態や生活スタイルなどによって変わってきます。

 

こちらの記事では、インプラントと差し歯の違いを詳しく解説していきます。

 

また、治療方法を決める際に安心して任せられる歯科医院の選び方のポイントなども含めてお伝えします。

治療方法の基礎知識・費用

まず、インプラントと差し歯の違いについてご説明します。

 

どちらかが誰にとってもメリットが多いわけではなく、それぞれに特徴は異なります。「自分に合った治療法はどれなのか」という視点で選択することが最も重要になりますので、まずはインプラントと差し歯の違いについて詳しく知っておきましょう、

インプラントとは

インプラントとは、人工歯根を埋める治療法になります。

 

虫歯が深かったり、歯根にまで達しているヒビがある場合は、まず抜歯となります。インプラント治療が日本に入ってくるまでは、抜歯した後は入れ歯かブリッジの選択肢しかありませんでした。

 

入れ歯やブリッジは、抜歯した箇所に人工歯を置くだけの状態になりますので、元の歯と比べて咀嚼力が弱くなります。

 

一方でインプラントは人工歯を置くのではなく、顎の骨に穴を開けて人工歯根を埋め込み、人工歯と繋ぐ仕組みになっています。

 

 

骨と人工歯根がしっかり結合しますので、自分の歯に近い咀嚼力が実現できる画期的な治療法となります。

 

しかし、インプラントは保険適用外の治療となりますので、1本あたりの相場は30~50万円となり、予算的にハードルが高いことなどがデメリットとなります。

差し歯とは

差し歯は、原則として歯根が残っている状態のときにしか選べない治療法です。残っている歯根に部品を差し込んで人工歯と繋げるからです。

 

 

歯根が残っていたとしても、人工歯を支えられるだけの強度が無い場合は抜歯となり、先ほど説明したような入れ歯、ブリッジ、インプラントという選択肢になってきます。

 

差し歯は、被せる人工歯を保険適用内の素材(硬質プラスチック)にすれば5,000円~1万円程度の治療費となります。

インプラント・差し歯以外の治療方法

インプラントと差し歯以外の治療方法もここで少しご説明します。

ブリッジとは

多くの人が選択する治療法が、ブリッジになります。

 

 

ブリッジは両隣の歯を削って土台となる義歯をかぶせ、橋渡しのようにして欠損箇所に人工歯を固定する方法です。

 

ブリッジは保険が適用される治療法ですので、治療費は1本あたり2~3万円程度であることと、外から見て目立つ金具などが無く、自然な仕上がりになることがメリットです。

 

一方で、最も大きなデメリットとなるのは、削る必要のない健康な歯を2本も犠牲にしなくてはならないことです。

 

健康な歯を削って義歯をかぶせたために、隙間から菌が侵入して、もともと健康だった歯が結局虫歯になってしまった、というケースも少なくありません。

入れ歯とは

「1本でも自分の歯を残したい」と、入れ歯を選択する方も多くいらっしゃいます。

 

部分入れ歯は「両隣の歯を支えにする」という方法ではブリッジと同じですが、金属のフックで引っ掛けるだけですので、両隣の歯を削る必要はありません。

 

 

こちらも保険が適用されますので、5,000円~2万円程度の治療費となります。

 

デメリットはなんといっても「金具が目立つ」ことと、「咀嚼力が弱い」ことです。噛み癖などによって入れ歯の型やフックの形状が合わずに、痛みを感じたり歯茎を傷つけてしまう可能性もあります。

 

フックで引っ掛けているだけなのでズレやすく、フックが周囲の歯を傷つけてしまうこともあります。

 

関連記事:インプラントと入れ歯の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを8つの観点から全解説

インプラントと差し歯の違い

 

ご説明したように、インプラントと差し歯の最も大きな違いは「歯根が残っているかどうか」です。

 

歯根を残せないような状態でしたら、差し歯を選ぶことは出来ません。

 

しかし、差し歯にもできるようなしっかりした歯根が残っている状況であり、差し歯のデメリットを考慮してみて、「それならいっそ抜歯してインプラントにしよう」という考え方もひとつです。

 

その場合、両者のメリット・デメリットをしっかり把握したうえで選択することが重要となります。

見た目

差し歯は入れ歯と違って目立つ金具などは無いため、保険適用外の素材を選ぶことでかなり審美性は確保できます。

 

しかし、差し歯治療自体が保険適用されるので、義歯の素材も「保険適用のもの(硬質プラスチックや銀歯)でいい」とする患者様のほうが多い傾向にあります。

 

硬質プラスチックは透明度が無いため、天然歯と並ぶと義歯であることは一見して分かります。ステインなどの着色汚れもつきますので、目立つ位置にある前歯を差し歯にする場合は、費用は上がりますがセラミックやジルコニアなどの保険適用外の素材を選ぶといいでしょう。

 

インプラントはそもそもが保険適用外の治療のため、義歯の素材も自ずと保険適用外の素材となります。インプラント治療を受ける多くの方が選ばれるセラミックの見た目は、天然歯そっくりですので、審美性は高いと言えます。

 

その他にもご要望に応じて様々な素材をお選びいただけます。

 

関連記事:インプラントの素材の種類とは?パーツ別に各素材のメリット・デメリットを紹介します

寿命・咀嚼力

一般的に、差し歯の寿命は5~10年、インプラントは10~15年と言われています。

 

しかし、噛み癖やお手入れ方法などによって耐用年数は人それぞれ、と言えます。特にインプラントは定期的なメンテナンスを継続的に行っていれば、数十年使用できる症例が多く報告されています。

 

咀嚼力は、天然歯を100%とした場合、差し歯は60~70%、インプラントは80~90%程度となります。

 

「天然歯のときと変わらずに食事を楽しみたい」「食べ物は固いものが好き」という方には、インプラントのほうがおすすめです。

治療の流れ・期間

インプラント治療の主な流れは、以下の通りになります。

 

  1. カウンセリング・問診
  2. 術前検査(血液検査、CT撮影など)
  3. 治療計画の確認
  4. 一次手術(インプラント埋入)
  5. 抜糸・仮歯調整
  6. 待機期間
  7. 二次手術(アパットメント装着)
  8. 型取り
  9. 人工歯装着
  10. 定期メンテナンス

 

患者様の口腔状態によって治療期間や治療内容、期間は少しずつ異なりますが、基本的にはこのような流れになります。

 

アバットメントと顎の骨の結合を待つ期間がありますので、全工程で6か月~1年程度の治療期間が必要となります。

 

歯科治療の中でもここまで長期間にわたって歯科医院に通い続けることはあまりありませんので、最後までしっかり通い続けられることが条件となります。

 

関連記事:インプラント治療の基本的な流れは?手術方法の違いや治療期間も解説

インプラント治療の期間はどれくらい?全体の流れを全7ステップで詳しく解説

 

差し歯治療の主な流れは、以下の通りになります。

 

  1. 診断・検査
  2. 虫歯治療
  3. 土台形成
  4. 被せ物(人工歯)の装着
  5. 定期メンテナンス

 

こちらも患者様の口腔状態によりますが、一般的には1~3ヵ月程度で治療は完了します。

 

関連記事:インプラントと差し歯どっちがいい?メリット・デメリットを解説

治療できる医院

インプラントは、治療に対応している歯科医院と、そうでない歯科医院に分かれます。インプラント治療を行っている歯科医院であれば、看板やホームページなどに必ず「インプラント」という文字があります。

 

インプラント治療が日本に輸入されたばかりの頃に比べれば、現在はかなり多くの歯科医院でインプラント治療を行っていますが、そのすべてが「信頼できる」というわけではないのが現状です。

 

インプラント治療は歯科医師免許を持っていれば誰でも「治療できます」と言えてしまいますので、インプラントの専門知識や技術をあまり持たずにインプラント治療を行っている歯科医院も含まれてしまっています。

 

インプラント治療を行うためには、専用の検査機器や治療機器、手術室などの設備が完備されていることが必須です。

 

また、インプラント治療で使用する部品も様々なものがあり、安全性が確保されていない安価なものを使用して「激安インプラント」をアピールしている歯科医院もあります。

 

関連記事:インプラントの有名メーカーとは?世界4大メーカーの特徴を全解説

 

インプラント治療を受ける場合には、通える範囲の中で「ここなら」と信頼に足る条件が揃っている歯科医院を選ぶことが非常に重要です。

 

関連記事:インプラント専門医・歯科医院の選び方とは?押さえておきたいポイント11選を徹底解説

 

一方で差し歯のほうは、ほとんどの歯科医院で治療を受けることが可能です。

治療のリスク

インプラントにも差し歯にも、頭に入れておくべきリスクは存在します。

 

インプラントは顎の骨を削る大がかりな手術を伴いますので、腫れ・痛み・出血・痺れなどのリスクが挙げられます。

 

しかし必要以上に怖がることはなく、ほとんどの患者様は滞りなく手術を終え、その後の傷口の痛みも処方される痛み止めを飲んでおけば問題なく日常生活を送れるレベルです。

 

ただし、手術を行う歯科医師の技術が足りずに手術に失敗する、思わぬトラブルが起きる、などのリスクも覚えておいてください。

 

そしてインプラントには、最も気をつけなければいけない病気があります。

 

歯茎から部品を露出させているインプラントは、その隙間から細菌が侵入すると「インプラント周囲炎」というインプラント特有の歯周病にかかるリスクを抱えます。

 

 

歯周病は一旦発症すると完治が難しい病気です。そしてインプラント周囲炎は初期症状に気付きにくい特性を持っているので、気付いた時にはインプラントが抜け落ちる寸前、という事態もあり得ます。

 

そうならないよう、歯茎を傷つけない強さで毎日の歯磨きを徹底する必要があります。

 

また、埋め込む部品は金属アレルギーを起こしにくいチタン製ではありますが、アレルギーが絶対に出ないという保証はありません。もし金属アレルギーをお持ちの方は、そのリスクも受け入れた上で治療を受ける必要があります。

 

差し歯におけるリスクは、歯根に繋げた人工歯の隙間から細菌が侵入し、残っていた歯根部分が虫歯になってしまうことです。

 

また、インプラントよりも咀嚼能力が劣る差し歯は、固いものを噛んだり、歯ぎしりなどの癖がある場合、差し歯が取れたり折れたりすることがありますので注意が必要です。

 

関連記事:インプラント治療はデメリットが多い?治療のリスクやメリットも併せて解説

治療後のケア・メンテナンス方法

インプラントも差し歯も、最も大切なのは「日々の丁寧な歯磨き」です。これは天然歯であっても同じことです。

 

「人工歯は虫歯にならないから歯磨きは適当でいい」という認識は間違いで、人工歯にしたからこそのリスクがあることは上記で説明した通りです。

 

特にインプラントはインプラント周囲炎のリスクがあるので、定期的にメンテナンスに通って状態をチェックしてもらうことが、健康な口腔環境を維持するポイントになります。

 

関連記事:インプラント治療後のアフターケアとは?寿命を延ばすケア方法を全解説

インプラントのメンテナンスにかかる費用とは?相場や必要性も解説

治療を始める歯科医院の選び方

 

インプラントでも差し歯でも、担当する歯科医師の腕がいいに越したことはありません。せっかく通院が終わったというのに、「なんだか不具合を感じる」と思ってしまうのでは元も子もありません。

 

そうならないために、信頼できる歯科医院を選ぶポイントをお伝えします。

治療に関して十分な説明がされている

歯科治療に限ったことではありませんが、医師にとって「患者様に詳細を分かりやすくすべて説明する」のは最も重要なことです。

 

患者様の今の歯の状態がどうなっているのか、いま起きている口腔トラブルが何なのか、それを治す方法にはどんなものがあるのか、患者様のご要望は何なのか等、丁寧にカウンセリングを行い、患者様と意思疎通をはからなくてはいけません。

 

それらのコミュニケーションを疎かにして一方的に治療法を決めてしまったり、詳しい説明も無しに治療に入ってしまう歯科医師には不安が残ります。

 

特にインプラントは治療後も長期的にメンテナンスに通い続けるため、歯科医師との相性も非常に重要となります。

治療実績が豊富にある

「腕のいい、信頼できる歯科医院」を見極めるひとつの指標として、「実績の多さ」があります。

 

インプラントや差し歯に限らず、多くの患者様を診て、様々な症例を経験していることは医師としての信用に直結します。

 

特に高い技術と知識が必要であり、外科手術を行うインプラントに関しては、豊富な経験が必要です。

 

手術中に何かイレギュラーな事態が起きたとしても、その対処法を熟知しているので安心して任せることができます。

 

治療の腕に自信がある歯科医院はホームページなどに必ず記載がありますし、近年ではクリニックの口コミサイトなどもあります。

 

インプラント治療に長けている医師の在籍を見極める物差しの一つとしては、「インプラント学会の認定医師」であることも挙げられます。

 

本町通りデンタルクリニックには国内外のインプラント学会からの認定医師が複数在籍しており、知識も実績も豊富です。

 

 

他院で断られてしまったような難しい症例でも、これまで培ってきた多くの知見によってご対応することが可能です。

 

当院で採用している特殊機器や治療法などもホームページにてご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

まとめ

差し歯とインプラントの違い、そして信頼できる歯科医院の選び方をご紹介しました。

 

まずは自分の歯根が残せる状態かどうかで選択が分かれます。差し歯治療を行えそうな歯根が残せる場合なら、ご自身のご要望や生活スタイル、ご予算などと照らし合わせて、インプラントか差し歯かを検討してみましょう。

 

そして、どちらの治療法を選ぶにしても、信頼して任せられる歯科医院をしっかり見極めることが大切です。

 

もし選択に迷ってしまったら、迷っていること自体を歯科医師に伝えてみるのもひとつです。患者様の口腔状態とご要望、その両方を加味して最善の方法を提案してくれることこそが、「信頼して任せられる歯科医院」と言えるでしょう。

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