奥歯2本のインプラント治療の費用目安とは?費用を抑える方法も併せて解説
2025.04.01
自分の歯と変わらない使用感・見た目を手に入れられるインプラントを検討している方は多くいらっしゃいます。しかし、大きなネックとなるのがその治療費です。保険適用外(自由診療)となるインプラントは、入れ歯やブリッジなどの治療法に比べて数十倍の費用がかかってくるのが実際のところです。
1本だけならまだしも、複数の歯となると一体どれくらいの費用になるのでしょうか。例えば奥歯2本をインプラントにする場合、相場はいくらになるのか、概算でお伝えしていきたいと思います。加えて、その費用を少しでも抑えるコツも解説します。
【項目別】奥歯2本のインプラント治療にかかる費用の相場
まず、奥歯2本をインプラントにする場合、おおまかな費用明細は以下の通りです。
- 検査・診断料:2万円~5万円程度
- 手術費用:30万円~70万円程度
- 人工歯(2本)の費用:10万~40万円
つまり、奥歯2本で合計80~100万円程度が目安となります。
患者様の体質や口腔環境、お選びいただく人工歯の種類などによって金額はまちまちになることを前提としておきましょう。
各項目について、以下に個別に詳述していきます。
検査・診断料:2万円~5万円程度
インプラントをご希望の場合、最初に検査を行います。インプラント手術・治療を行うにあたり、患者様の口腔状態がインプラント治療に適しているかどうかを確認するためと、顎の骨の状態や歯周病の有無、噛み合わせを正確に把握する目的もあります。これらの検査にはCT機器や口腔内スキャナーなどの専用機器を使用します。
この検査によって患者様の体質や口腔内が把握できたら、綿密な治療計画を立てていきます。
手術費用:30万円~70万円程度
インプラント治療費の中で大部分を占めるのが手術費用になります。人工歯根となるインプラント体の埋め込みや、そこに人工歯を繋げるためのアバットメントと呼ばれる部品の固定などが基本的な手術内容となります。
それらに加えて、追加処置が必要になる可能性もあります。顎の骨の分量が足りない場合は骨造成という処置、歯茎が薄い場合は歯肉移植、患者様の体質によって追加麻酔をするなど、臨機応変に対応していきます。
人工歯(2本)の費用:10万~40万円
インプラントは治療自体が保険適用外なので、被せていく人工歯も自動的に保険適用外の種類から選ぶことになります。
入れ歯やブリッジで使われる保険適用内の素材と比べて天然歯の見た目にかなり近いため、高い満足感を実感していただけます。
お選びいただける素材はセラミック製が主流で、その中でも更に3種類あり、それぞれに特徴があります。
奥歯のインプラント治療の費用を抑える方法
1本のみでも高額と言えるインプラントですので、奥歯2本ともなればかなり勇気のいる費用になっていきます。
そこで、少しでも患者様のご負担が軽くなるように、いくつかのコストカット方法をお伝えしていきます。
医療費控除を利用する
医療費控除制度は、1年間に支払った医療費の合計が10万円を超えた場合(1年間の総所得金額等が200万円未満の方は総所得金額等の5%)に、支払った所得税などの税金が戻ってきたり(還付)、翌年度の住民税が減税される制度のことです。
インプラント治療を受けた方は必ず医療費が10万円を超えますので、この制度を使っていただくことをおすすめします。ただし、歯科医院で医療費を支払えば自動的に還付・減税がされるわけではなく、ご自身で確定申告の必要がありますので、忘れずに申告をしましょう。
還付金の計算方法は以下の図の通りです。
出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
関連記事:インプラント治療は医療費控除の対象?還付金の計算・申請方法・注意点も解説
複数の歯科医院を慎重に比較検討する
インプラントは自由診療のため、治療費は各歯科医院で自由に設定することができます。そのため、歯科医院によって治療費はそれぞれです。
インプラント手術・治療を受ける歯科医院を選ぶ際に、複数の歯科医院を比べずに決めてしまうと、相場よりも高い治療費だったとあとで判明して後悔することにもなりかねません。
もちろん、費用面のみで歯科医院を選ぶこともリスクがあります。低価格でも良質な治療をしてくれる歯科医院もありますし、反対に高価格だからといって優良な歯科医院・歯科医師とも限りません。複数の歯科医院の比較をして、相場感を掴むことがとても重要になります。
そして治療費以外にも、歯科医師による説明の分かりやすさやスタッフの対応力、クリニック内の雰囲気、自宅や勤務先からの通いやすさなど、複数の面でしっかり比較してから決めることをおすすめします。複数の歯科医院に足を運び、事前カウンセリングで見積りを出してもらい、価格面も含めてご自身が納得できる歯科医院を選びましょう。
高額療養費制度を活用する(保険適用の場合のみ)
高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払った1か月の医療費・薬代が上限額を超えた場合に、その超えた部分の金額を国民健康保険や企業の保険組合から給付してもらえる制度のことです。
しかし、これは前提として「保険適用内の医療費の場合」という条件があるため、インプラント治療を受けるほとんどの方にはあてはまりません。
先天性の疾患や事故の外傷などの理由によってインプラント治療を受ける方には保険が適用されますので、この高額療養費制度が利用できます。詳しくは関連記事をご参照ください。
関連記事:インプラントは保険適用になる?健康保険で治療を受けられる条件を解説
奥歯のインプラント治療では、安すぎる歯科医院に要注意!
奥歯を複数本インプラントにする場合、どうしても高額になってしまうため、「少しでも安く」と思ってしまうのは当然のことです。しかし、「格安」を謳う歯科医院を真っ先に選んでしまうことはあまりおすすめできません。
歯科医師がインプラント治療を行うにあたり、一般的な歯科治療とは異なる専門的な知識や高度な技術が必要です。そのため、あまりに相場からかけ離れた価格には必ず理由があります。知識や経験が少ない歯科医師であったり、使用している機器や部品の質が良くなかったり、保証制度が不十分であるなどの理由が見受けられます。
手術までは安価であっても、そのあとに何らかの理由をつけて追加費用を何度も請求されてしまうケースなども耳にします。
先ほどお伝えしたように、「安価=NG」というわけではありませんが、インプラント治療の患者様を多く集めて利益率を上げるために、必要なコストを削ってまで安価を謳っている歯科医院が紛れていることもありますので、要注意です。
奥歯のインプラント治療|良い歯科医院を選ぶためのチェックポイント
奥歯のインプラントを検討している場合、価格面のみでなく、多面的な視点で信頼できる歯科医院を探すことが最も重要です。信頼できて腕のいい歯科医院を選ぶチェックポイントを以下にまとめます。
- インプラント治療の実績・経験が豊富
- インプラント以外の治療に関する知見が豊富
- 治療前のカウンセリング・事前説明が丁寧
- 価格が明瞭に示されている
- 最新機器が導入されていて、設備が充実している
- Web上で多くの良い口コミが確認できる
- 院内が清潔で清掃が行き届いている
- 受付やスタッフの対応が良く、質問・相談がしやすい
- 最新の知識や技術の研鑽を推進している
- 国内や海外のインプラント学会から「インプラント認定医」とされている医師が在籍している
まとめ
奥歯2本をインプラントにする場合に、おおまかな費用とその明細をお伝えしました。保険制度が充実している日本では、医療費に何十万円も支払うことに、ほとんどの人はためらいを感じるでしょう。
しかし、入れ歯やブリッジより何倍も寿命が長く、見た目の満足度も機能性も高く、快適な生活が送れるインプラントは決して贅沢すぎる買い物ではありません。だからこそ、患者様のご予算としっかり向き合っていただき、インプラント治療を受けると決めていただいたからには、後悔の無い歯科医院をお選びいただくことが「賢い買い物」に繋がっていくでしょう。
患者様の大切な身体の一部を預けていただきますので、費用面だけではなく、様々な視点で「優良な歯科医院」をお選びください。