インプラントのメンテナンスにかかる費用とは?相場や必要性も解説
2025.04.25
インプラントは、「治療が完了したら終わり」ではありません。顎の骨に人工歯根を埋める大きな処置をしているため、定期的に状態をチェックし続ける必要があります。不具合や自覚症状を感じてから受診するのでは遅い、という理由もあります。
それは一体なぜなのでしょうか。
そしてメンテナンスというのは何をして、どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。
メンテナンスを続けていく必要があるその理由と、メンテナンス内容や費用などを詳しくお伝えしていきます。
インプラントのメンテナンスにかかる費用と相場
インプラントは保険適用外の治療のため、治療費自体が高額です。「その上にメンテナンス代もかかるの?!」と驚いてしまう人もいるかもしれません。
インプラントは体の中に金属製の部品を埋め込んでいることで、目視で確認できない場所で不具合が発生してしまうことがあります。その不具合を少しでも早く発見するためなどの理由からメンテナンスが必須となっています。
では、その費用や頻度はどれくらいなのでしょうか。
インプラントのメンテナンス費用の相場
インプラントの治療自体が保険適用外のため、その後の定期メンテナンスもやはり保険は適用されません。よって、インプラントの定期メンテナンスは、一般的な定期検診よりもどうしても相場は高くなってしまいます。
歯科医院それぞれに自由に価格設定ができるため費用は様々ですが、相場として大体3千円~1万円程度となります。
そのときのインプラントの状態などによってメンテナンスで行う処置は変わってきますので、同じ歯科医院でも患者様によって価格はそれぞれになります。
メンテナンスの頻度
では、どれくらいの頻度で通えばいいかというと、こちらも歯科医院によって考え方がそれぞれ違いますが、一般的には3ヶ月~6ヶ月に一度になります。
ただ、それはインプラントに特に問題が無い場合ですので、炎症が少し出ているなどの症状が見受けられた場合はもう少し頻度が上がります。
治療が完了した1年後くらいまでの間に問題が特に見受けられないようでしたら、翌年以降はもう少し間隔が開くのが一般的です。
インプラントに何も問題が無ければ年に1~2回程度のメンテナンスですので、それほど大きな負担にはならないのではないでしょうか。むしろ、定期メンテナンスに行かずに知らないうちにインプラント内部に不具合が発生していて、再手術や大きな処置が必要になってしまうほうが費用は嵩みます。
メンテナンス費用は医療費控除の対象
もし治療完了後のメンテナンスで経過が良好でなく、高い頻度での通院が必要になった場合は費用が嵩んでしまいますが、医療費控除の制度が利用できます。
医療費控除とは、1月1日~12月31日の間に支払った医療費(保険適用外も含む)が10万円を超えた場合(年収が200万円未満の場合は年収の5%を超えた場合)に、支払った所得税の一部が戻ってくる制度になります。また、翌年度に支払う予定の住民税も減税されます。
控除の対象となるのは治療費以外にも、通院に使った交通費や薬代なども含まれます。
ただ、医療費控除の制度を利用するときは、企業にお勤めの方でもご自身で税務署に確定申告をする必要がありますのでご注意ください。
関連記事:インプラント治療は医療費控除の対象?還付金の計算・申請方法・注意点も解説
インプラントにメンテナンスが必要な理由
では、なぜインプラントは不具合が出ていないのに定期的に状態をチェックしなければならないのでしょうか。
そこには、他の治療法とは一線を画しているインプラントならではの理由があります。
インプラント周囲炎を予防するため
入れ歯やブリッジは、歯を失った箇所に義歯を置いているだけの状態のため、歯茎の中まではアプローチしていません。しかし、インプラントは顎の骨まで穴を開けているため、中で炎症が起こっていても目視で確認できないことがあります。インプラント手術を行った箇所は、初期の炎症では痛みなどを感じにくいという背景もあります。
特にインプラントは歯茎と骨の中に部品が埋まっていて、その隙間から細菌が入り込みやすい状態になっていますので、歯周病になりやすい特性があり、それを「インプラント周囲炎」といいます。
インプラントは歯茎への血液供給量が少ないこともあり、天然歯と比べて歯周病にかかりやすいリスクがあります。
そのまま症状が進んでしまうと、顎の骨が溶けてしまったりインプラントが脱落してしまったりすることにも繋がる怖い病気ですので、早期の発見が非常に重要です。
痛みが出にくく、目視では不具合も確認できない箇所ということで、歯科医師による定期的なチェックがとても重要という理由から、定期メンテナンスに来ていただくようお願いしています。
インプラント以外の歯のトラブルを早期発見するため
インプラント周囲炎は歯周病の一種です。歯周病は、細菌によって炎症が起きてしまう病気ですので、他の歯が歯周病になっている場合も、インプラントの箇所は感染に気を付けなければいけません。
歯全体において、痛みや出血などの自覚症状が出る前に歯や歯茎の異変に気付くことも、メンテナンスの目的のひとつです。
また、歯周病に限らず、他の天然歯の虫歯もインプラントに悪影響を及ぼします。口内環境を常に良好な状態に保っておくことが、インプラントを守ることにも繋がります。
保証の要件を満たすため
インプラント治療を行っている多くの歯科医院では、治療後に保証期間を設けています。インプラントの部品や被せ物に何かしらの不具合や破損などが出た場合に、無償でご対応するという保証になります。
保証期間は5~10年の歯科医院が多いようですが、本町通りデンタルクリニックでは永久保証をお約束しております。患者様の歯に一生の責任をもってご対応するという自信と覚悟から、そのような制度を設けております。
ただ、保証の条件として、「定期メンテナンスに来てくださっている方」と指定しているところが一般的で、当クリニックもそれに該当します。
インプラント自体の不具合や破損が起きてしまっても保証があれば無償で再治療ができるメリットは大きいと言えます。そのためにも、年に数回の定期メンテナンスは続けておいたほうが得策と言えるのではないでしょうか。
インプラントのメンテナンス内容
では、定期メンテナンスとは具体的に何をするのか、詳しく説明していきます。
口腔内・インプラント体のチェック
インプラント自体にグラつきが無いか、インプラント周囲炎を疑うような症状が出ていないかなどをチェックします。
そして、インプラント箇所も含めて、歯垢の付き方を見て磨き残しの有無もしっかりチェックしていきます。インプラント以外の歯の定期検診も兼ねていますので、他に虫歯などが無いか、隅々まで確認していきます。
噛み合わせのチェック
噛み合わせに問題は無いか、過度に圧力が加わっている箇所は無いかを確認します。もしそのような状況が見受けられた場合は、インプラントに被せてある人工歯を少し削るなどして調整していきます。
それに合わせて、他の歯もピッタリとした嚙み合わせになるよう全体的にチェックします。
レントゲン検査
先ほどお伝えしたように、インプラントは顎の骨まで穴を開けて部品を埋め込んでいるので、目視だけでは状態が把握できません。インプラント内部に問題が起きていないかを確認するために、レントゲン検査も行っていきます。
こちらは定期メンテナンスの度に毎回必ず行うわけではなく、年に1度の検査のみでOKとしている歯科医院もあります。
PMTC
PMTCとは、プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略になります。歯科医師や歯科衛生士など、プロによるクリーニングのことです。
専用の機器や薬剤などを使い、セルフケアでは取り除くのが難しい歯石なども含めてすべての歯を綺麗にしていきます。
ブラッシング指導
歯垢の残り方を確認し、磨き残している部分をご自身でしっかり磨いていけるよう、歯科衛生士が歯ブラシの使い方や傾け方、歯の大きさに見合った歯ブラシの種類などを伝えていきます。
インプラントも天然歯も、健康な状態をキープし続けるためにはとにかく日々の歯磨きが最も重要になります。インプラントを長持ちさせるためにも、歯ブラシはしっかり丁寧に行っていきましょう。
インプラントを良好に保つためにできること
インプラントを良好な状態のまま長く使っていただくためには、日々の正しい歯磨きと、歯科医師による定期メンテナンスが必須です。
日々の歯磨きでは、歯ブラシのみではなく、デンタルフロスや殺菌効果のあるマウスウォッシュを使っていただくこともおすすめします。
インプラント専用の歯ブラシや歯磨きペーストもありますので、ご希望の方は歯科医院までお問い合わせください。
また、インプラントとの大敵と言えるインプラント周囲炎になるリスクが上がるもののとして、以下のような習慣も挙げられます。
- 喫煙習慣がある
- 糖尿病を患っている
- 貧血の傾向がある
- 歯ぎしりや食いしばり癖がある
糖尿病に繋がるような食生活を見直すことや、歯ぎしりの癖がある場合は就寝時にマウスピースを装着していただくようにするなど、できるだけ長く快適にインプラントをお使いいただくための工夫をすることがとても大切です。
まとめ
インプラント治療をした際に不可欠となる、定期メンテナンスに関する詳細をお伝えしました。
インプラント以外の他の治療法では、治療完了後に特に不具合が出ていなければ定期メンテナンスに来ていただくようにご案内することはあまりありません。
「インプラントは痛みや出血などの不具合が無いのになんで診察に行かなければいけないの?」と疑問に思う方も多いようです。
歯茎の内部にメスを入れているインプラントだからこそ、不具合を早期に発見できるよう定期的にプロの確認が必要となります。
また、定期メンテナンスに来ていただいている場合の保証サービスもぜひご活用いただきたい部分です。
インプラント治療をされていない方でも、本来は1年に1回程度の定期検診に来ていただくことが望ましいと言えます。お口全体の健康管理も兼ねて、インプラント治療の完了後も必ず定期メンテナンスに通うようにしましょう。