インプラント治療が保険適用になる3つの条件とは?費用負担を抑える方法も紹介します

2025.04.16

 

入れ歯ともブリッジとも差し歯とも違う、魅力的な長所が多いインプラント。しかし、大きなネックとなっているのがその費用です。

 

機能性も審美性も抜群だというインプラントにしてみたいけど、やっぱり費用が……と治療に進むことを躊躇している方に、費用を少しでも下げる方法をお伝えしていきます。

 

また、インプラント治療は保険が適用になるケースもゼロではありません。その場合の条件も含め、詳しくご説明します。

一般的なインプラント治療には、保険は適用されない

まず、一般的なインプラント治療は、基本的に保険は適用されません。そこがインプラント費用が高くなってしまう最も大きな理由です。

私たちが虫歯などで歯科医院に行っても、1回あたりの診療で数百円~数千円ほどの費用で済みます。その感覚でインプラント費用を聞くと、驚いてしまうのは当然です。

 

これは、歯科に限らず多くの診療に保険が適用されているからです。公的な保険制度が充実している日本に住んでいると「医療費は数千円程度」という感覚になりがちですが、それは医療費の多くの割合を保険で補ってもらっているからです。本来、医療行為というのは決して安い費用ではありません。

保険診療とは?

「保険適用」「保険診療」とは、勤めている企業の健康保険組合や、国の制度である「国民健康保険」から診療費の一部を支払ってもらえる診療のことです。

 

そのおかげで私たちが病院に行っても数百円~数千円の支払いで診療を受けることができています。この「数百円~数千円」を「自己負担額」といい、70歳未満のほとんどの人は診療費の3割を負担することになっています。国民健康保険に加入している70歳以上の人は段階的に自己負担額が少なくなっていきます。

 

歯科医院で受ける多くの治療も、この保険制度が利用できます。抜歯も含め、そのあとに義歯を入れる際の選択肢である入れ歯、ブリッジ、差し歯も保険適用がされます(保険適用内の素材を選んだ場合)。

自由診療とは?

一方で、その保険が適用されず、全額自己負担になる診療のことを「自由診療」「保険適用外」などといいます。

 

例えば虫歯の部分を削ったり、炎症や出血などの痛みをなくすなど、口腔内の機能性の回復を目的とした治療行為には保険が適用されますが、歯並びを整える、歯を白くするなど、審美性の向上を目的とした治療行為などには保険が適用されないという基準になっています。

 

保険適用内である入れ歯、ブリッジ、差し歯の場合でも、使う義歯を「見た目の綺麗な素材にしたい」というご要望であれば、保険適用外の素材となりますので、費用はグッと上がります。

 

インプラントも、「審美性の向上を目的としている」に該当するため、保険適用外の治療になります。自分の歯を歯根ごと失った場合に、入れ歯とブリッジという他の選択肢があるため、という理由もあるでしょう。

 

保険が適用される医療行為には、その費用設定に関してある程度のルールが決められていますが、自由診療に関しては医療機関のほうで自由に価格設定ができます。インプラント費用が歯科医院によってそれぞれなのは、このような背景も含まれています。

保険が適用されるインプラント治療の3つの条件とは?

 

インプラントを希望されるほとんどの患者様は自由診療となりますが、ごく一部、保険が適用されるケースがあります。その条件を以下に挙げていきます。

【先天的理由】

  • 生まれつき、顎骨の3分の1以上が欠損している
  • 生まれつき、顎骨が形成不全である
  • 骨移植を行ない、顎の骨を再建した

【後天的理由】

  • 第三者による事故で顎骨を損傷した
  • 病気によって顎骨を欠損した

【医療施設の条件】

上記の条件を満たしている場合、以下の医療施設にて治療を受けることも義務付けられています。

  • 歯科または歯科口腔外科の病院である
  • 歯科または歯科口腔外科の分野で5年以上の経験がある、または3年以上のインプラント治療の経験がある常勤の歯科医師が2名以上在籍している
  • 当直体制が整っており、万一のトラブルに対応できる
  • 医療機器の保守管理や、医薬品にかかわる安全確保が徹底されている

保険が適用されないインプラント治療の例

つまりほとんどのケースは保険適用外となり、以下のような理由からインプラント治療を受ける方は保険適用外となります。

自由診療となるインプラント治療の費用は、歯科医院によってそれぞれですが、相場として1本あたり30~50万円と考えておきましょう。

  • 虫歯、歯周病、破損などによって歯を失った際の治療
  • 加齢による骨の吸収によって歯を失った際の治療
  • 噛む機能や、見た目の美しさを向上させるために行なう治療

インプラント治療の費用負担を抑える方法

 

インプラント治療の費用が高額なのは、自由診療であることに加えて、非常に高度な技術と知識、最新の医療機器が必要であることも理由に挙げられます。単に歯科医院の利益のために高額にしているわけではありません。

 

それでも、歯1本につき数十万円というのは簡単に出せる金額ではありません。そこで、少しでもインプラント費用を抑える方法がいくつかありますのでご紹介していきます。

医療費控除を利用する

医療制度が整っている日本には、「医療費控除」という制度もあります。あくまで「控除」ですので、歯科医院で支払う治療費が安くなるというわけではありませんが、インプラント治療を受けたことによって納税したお金が戻ってきますので、この制度は是非利用しましょう。

 

医療費控除とは、1月1日~12月31日の1年間で使った医療費の合計が10万円以上になった場合、納めた所得税などが戻ってくる(還付)仕組みのことです。年収が200万円未満の方の場合は、年収の5%を超える金額を医療費として支払った場合に税金が戻ってきます。

 

そしてこの制度を利用して還付を受けた場合、翌年度の住民税を減らしてもらえるメリットもあります。

 

インプラント治療を受けた場合、1本でも10万円は必ず超えますので、この医療費控除を利用することができます。

ただ、インプラント治療を受ければ自動的に税金の還付がされるわけではなく、必ず自分で確定申告をする必要があります。

企業に勤めている人は会社のほうで申告をしてくれている場合がほとんどなので、自分で毎年税務署に申告に行くことはありませんが、医療費控除を申請したい場合は、自身で必要書類を集め、必要事項を記入し、税務署に提出する必要がありますのでご注意ください。

 

いくらぐらい還付されるか概算を出したい方は、以下の計算式を使って算出してみましょう。

扶養内のご家族が支払った他の医療機関での治療費もすべて合算できます。

 

 

出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

関連記事:インプラント治療は医療費控除の対象?還付金の計算・申請方法・注意点も解説

 

高額療養費制度を利用する(保険適用の場合のみ)

医療費控除の他に、「高額療養費制度」というものもあります。

 

支払った医療費や薬代が一定の金額を超えた場合に、その一部分を健康保険組合や国民健康保険が負担してくれる制度になります。

しかし、こちらは保険適用内の医療費に限られていますので、ほとんどのインプラント治療の場合は利用することができません。

 

出典:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

複数の歯科医院を比較検討し、相見積もりを取る

先ほどお伝えしたように、インプラント治療は自由診療となるため、治療費は歯科医院によってさまざまです。使用している機器やインプラントのメーカー、人件費、患者様の体質、利益率など、いろいろな側面から治療費が算出されます。

 

「安いところは良くない、高いところなら安心」というわけではありませんが、「家の最寄りにある歯医者さんでインプラント治療をやっていたから」と簡単に決めてしまうと、のちの後悔に繋がってしまうかもしれません。

 

治療費の他にも、インプラント手術・治療に関する歯科医師の説明の仕方、対応、これまでの症例、院内の設備、衛生面、スタッフの対応、立地や診察時間などを含め、様々な角度から見て納得できる歯科医院を見つけることが最も重要です。

 

そのためには、通える範囲の歯科医院をいくつかピックアップして相見積もりをお願いしてみるといいでしょう。

 

関連記事:インプラント専門医・歯科医院の選び方とは?押さえておきたいポイント11選を徹底解説

まとめ

インプラント治療に保険が適用されるには、どんな条件が必要なのかをお伝えしてきました。

 

審美性が高いゆえに、日本ではインプラント治療のほとんどは保険適用外となってしまいますが、少しでもコストを下げる方法も併せてご紹介してみました。

 

保険が適用される入れ歯やブリッジは、インプラントに比べて耐用年数が短いところがデメリットのひとつです。一方で、インプラントはしっかりお手入れを続けていれば、再手術の必要なくお使いいただけることも充分ある義歯です。インプラントにかかる費用を上手にコストカットして、快適なお口環境を手に入れてください。

 

本町通りデンタルクリニックでは、いつでもインプラントに関するご相談・ご質問を受け付けております。お気軽にお声がけください。

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