インプラント治療の仮歯とは?役割・期間・人工歯との違いや過ごし方
2026.01.27

抜歯をして自分の歯を失った場合に、自分の歯と最も近い環境を再現できるインプラント。
咀嚼能力や見た目など、多くのメリットがあるので、希望される患者様が年々増えています。
インプラントは顎の骨に人工歯根を埋める治療になりますが、人工歯根を埋めたあとに仮歯を装着する期間があります。
なぜすぐに人工歯ではなく、仮の歯を装着する必要があるのでしょうか?
その理由や装着期間、仮歯期間に気をつけることなどを詳しくお伝えしていきます。
仮歯とは?歯がない期間と仮歯が必要な理由
インプラント手術を終えて仮の歯を入れることにどんな理由があるのか、仮歯の期間はどれくらいなのか、インプラント治療の詳細を先に説明した上で解説します。
インプラント治療の工程と歯がない期間
インプラントとは、抜歯した後に歯茎を切開し、顎の骨を削って金属製の人工歯根を埋める治療となります。

顎の骨に埋め込んだ部品と、骨や歯茎がしっかり結合するまでには3~6カ月を要します。インプラント治療におけるいちばんの要となるのは、この「結合」です。
ほとんどの患者様は問題なく結合しますが、体質などによって結合が順調に進まない患者様が稀にいらっしゃいますので、様子を見る目的も含めた「仮歯期間」となります。
この結合の経過を待つ期間、仮の歯を入れて様子を見ることになります。
仮歯の重要な役割
なぜ仮歯を入れておく必要があるのか、それには様々な理由があります。先ほどご説明したように、埋め込んだ部品と顎の骨が結合するまでには数ヶ月を要します。それだけ長い期間、歯が無い状態だと多方面で生活に支障が出てしまいます。
それらの具体的な内容について、以下に詳しく説明していきます。
自然な見た目と表情をつくる
まずは単純に見た目が悪くなるからです。特に前歯などの目立つ箇所が「歯抜け」の状態になれば、人と会話をする際にとても気になります。
仮歯でも歯が入っていれば、口元を隠しながら人と話したり食事をする癖がついてしまうことを防げます。
咀嚼機能を維持する
たとえ1本でも歯が無い状態ですと、食事の際に不便が生じてしまいます。仮歯ですので固いものを噛むことは避けていただきますが、咀嚼能力はある程度確保することができます。
発音・滑舌の悪化を防ぐ
歯が1本無いだけでも、喋る際に意外と違和感を覚えるものです。
仮歯があることで、今までと変わらずに日常会話をかわすことができます。
患部に蓋をして傷口を保護する
手術後に仮歯期間があるのは、傷口がしっかり塞がるのを待つ目的もあります。
仮歯を入れないと、口内にある様々な細菌が傷口に付着・侵入し、インプラント部品と骨の結合を邪魔します。
また、傷口が露出していることで食事の際に食べ物が当たって傷口を刺激してしまうので、それを保護するためでもあります。
噛み合わせ・歯並びの変化を抑える
歯は隣接している歯が無いと、空いたスペースのほうに寄ってきてしまう習性を持ちます。
たとえ数ヶ月間だとしても、スペースが空いているとインプラント箇所の両隣の歯が移動してしまう可能性があります。
そうなると人工歯を入れる際に大きさが合わなくなったり、噛み合わせに問題が生じてしまいます。
噛み合わせが悪くなると頭痛・肩こりなど、体全体の不調に繋がってしまいますので、手術時に調整した嚙み合わせをしっかり保持するためにも、仮歯を入れて歯の移動を防ぎます。
顎の骨や歯茎の状態を調整する
歯が無い状態が長く続くと、インプラント箇所に隣接した歯の位置のみならず、顎の骨や歯茎も変形していきます。
例えばインプラント手術を受ける前に入れ歯を長期間使用していた患者様の場合、顎の骨や歯茎が変形してしまっているケースがあります。
その場合でも、仮歯期間を使って正常な位置に少しずつ戻していくことができます。
仮歯を入れるタイミング

仮歯を入れるタイミングとしては、インプラント体を埋め込む手術をした当日、もしくは抜歯後が一般的です。
抜歯は手術の傷口が安定した頃、術後7~10日後くらいが目安です。
歯科医院によって仮歯を入れるタイミングはそれぞれで、患者様の口腔状態や傷口の状態などによっても左右されます。
仮歯の装着期間は、先ほどお伝えしたように3~6カ月ほどとなります。
仮歯と最終的な人工歯の違い
仮歯の材質は、差し歯やブリッジで使用される保険適用内の素材である硬質プラスチック(レジン)であることが一般的です。
最終的に入れる人工歯はセラミックなどの素材がよく選ばれますが、セラミックに比べてレジンは強度や耐久性が低く、強い力が加わると外れやすいので食事の際には注意が必要です。
仮歯の色は他の歯と馴染むように作られます。しかし、セラミック等と比べて透明度が無いので、前歯などの目立つ箇所ですと「義歯」ということは分かる程度の見た目となります。
関連記事:インプラントの素材の種類とは?パーツ別に各素材のメリット・デメリットを紹介します
仮歯期間の過ごし方・注意点

あくまで「仮」の歯ですので、仮歯の期間は注意して生活することが必要です。
具体的にどのようなことに留意しながら過ごせばいいのでしょうか。
食事は硬い物・粘着性の強い物を避ける
レジン自体にそこまで強度が無いということに加え、取り外すことを前提で設置されているため、仮歯は外れやすくなっています。
ガムやキャラメルなど、粘着性の強い食べ物を仮歯部分で噛まないようにしましょう。
硬いお煎餅やスルメ、噛みちぎるのに強い力がいる硬いパンなども仮歯部分をあまり使わないほうがいいでしょう。
仮歯に強い負荷がかかることでインプラント体との結合に影響が及んだり、傷口の治りを遅くしてしまうことにも繋がります。
仮歯と口内を清潔に保つ
手術直後は特に、傷口が完全に塞がっていないために歯ブラシをあてることをためらってしまうかもしれません。
しかし、インプラントにとって最も良くないのは「不衛生にすること」です。傷口から細菌が侵入して傷の治りが悪くなったり、インプラント体と骨の結合を妨げたりします。
また、この仮歯期間に限らず、インプラントを入れている方にとって口内の衛生を保つことは非常に重要です。
仮歯期間が終わり、抜歯なども済んで治療が完了したあとも含めて最も留意するべきことは「インプラント周囲炎にならないこと」です。

仮歯や人工歯自体が虫歯になることはありませんが、仮歯に付着したプラーク(歯垢)に細菌が溜まり、そこから部品と歯茎の隙間を伝って細菌が侵入すると「インプラント周囲炎」というインプラント特有の歯周病になってしまうことがあります。
歯周病は一度かかると完治することのない怖い病気です。細菌の繁殖が進むと、インプラント体が抜け落ちてしまうことにも繋がります。
仮歯期間も、そのあとも、インプラント周囲炎の原因ともなるプラークをしっかり落とすよう、毛先の柔らかい歯ブラシで優しく小刻みに歯磨きして口内を清潔に保ちましょう。
仮歯のまま治療を中断しない
仮歯が入るとそれほど支障なく生活を送れるようになるため、そこで満足して治療を中断してしまう患者様が稀にいらっしゃいます。
あくまで仮歯は「仮」であるため、長期間の使用には耐えられません。変色・摩耗などが進み、他の歯も含めて機能が低下してしまいます。
仮歯が摩耗すれば、噛み合わせの歯にも悪影響が出ます。先ほどお伝えしたように、正しい噛み合わせになっていないと、頭痛、肩こりをはじめ、体全体の不調につながります。
仮歯は取り外すことを前提に固定されていますので、外れやすかったり、ズレやすかったりもします。その面でも嚙み合わせの不具合が出やすくなります。
また、仮歯が劣化すると、埋入したインプラント体にも悪影響となり、インプラント体が抜け落ちてしまうことにもなりかねません。
指定された仮歯期間が過ぎたら必ず歯科医院で続きの治療を受け、治療完了まで通い通すことがとても大切です。
トラブルが発生したらすぐに歯科医に相談する
もし仮歯が外れるなどのトラブルが発生した場合は、そのままにせずすぐに歯科医院で診療を受けてください。
インプラント治療を受けている歯科医院以外では「対応不可」という場合もありますので、治療を受けている歯科医院に相談することが望ましいでしょう。
まとめ
インプラント治療では仮歯を装着する期間が3~6カ月ほどあり、その期間中は食事の際などに注意が必要な点などをお伝えしました。
「仮歯だしそこまで丁寧に歯磨きしなくても大丈夫」というわけでは全くなく、インプラント体と骨の結合をスムーズに行うためにも、歯磨きなどのセルフケアが非常に重要です。
そして、仮歯といえども、しっかり型を取って生活に支障が出ないように作成しますので、つい仮歯のまま放置してしまう患者様もいらっしゃいますが、それは絶対にNGです。
保険適用内のブリッジや入れ歯などと違い、高額な費用となるインプラント。そして手術を受けるにも「うまくいくだろうか」という不安はつきものです。
せっかくそのような大きな決断をしてくださった患者様には、「インプラントにして本当に良かった」と満足していただき、できるだけ長く快適にお使いいただきたいと願うのが私たち歯科医師の気持ちです。
指定の仮歯期間を上手に乗り切っていただき、快適な口腔環境を手に入れていただきたいと思います。
その他にも仮歯などに関するご不明な点がありましたら、お気軽に本町通りデンタルクリニックまでご相談ください。






