インプラント治療での失敗例とは?相談先と失敗を未然に防ぐポイント

2025.07.10

 

インプラントに限らず、手術を伴う治療では「失敗されたらどうしよう」という不安はつきものです。

 

歯科治療の中で、最も規模の大きな手術と言ってもいい、インプラント。思わぬトラブルに繋がってしまった例もゼロではありません。

 

それは一体どのようなトラブルなのか、その失敗例をご紹介するとともに、そうなってしまった際の相談先や予防ポイントを詳しくご紹介していきます。

インプラント治療で起こり得る失敗症例5選

インプラント治療を受ける際に、事前に歯科医師からリスクについても必ず説明がされます。体質などによっては、それらのリスクを完全に回避できない可能性があるからです。

 

また、担当した歯科医師の腕や経験値の低さから、「失敗」と言える事態に繋がることもあります。

 

具体的に、どのような状況になった際に「失敗」となってしまうのでしょうか。

1.インプラントと骨が結合しない

インプラント治療とは、人工歯根であるインプラント体を顎の骨に埋めて、そこからアバットメントと呼ばれる部品を歯茎に露出させ、人工歯を固定します。

 

 

インプラント治療において、インプラント体と骨の結合が最も重要なポイントになってきますが、埋め込む角度や深さ、体質などによってはしっかり結合しないことがあります。

 

歯科医師の判断や腕に問題が無かったとしても、歯ぎしりや食いしばり癖、喫煙習慣などによって結合不良が起こることもあります。

2.人工歯が外れる、破損する

被せ物となっている人工歯がすぐに外れてしまったり、欠けてしまうなどのトラブルです。

 

これらの原因として考えられるのは、インプラント体とアバットメントがしっかり接続されていないことが挙げられます。

 

治療直後に問題が無かったとしても、こちらも歯ぎしりや食いしばり癖などで段々と緩んできてしまうことがあります。

 

人工歯は非常に硬度の高い素材でできていますが、嚙み合わせが悪く、過度な負荷がかかると破損してしまうことも。

 

治療時に嚙み合わせをしっかり計算してインプラントの向きや人工歯の大きさを決めていますが、こちらも歯ぎしりなどで歯の位置がズレてきて噛み合わなくなってきてしまうパターン、加齢で歯茎や骨が痩せることにより歯の位置が変わってくるパターンも考えられます。

3.インプラントに細菌が感染する

インプラント治療をした患者様に必ずお伝えしているのは、インプラント周囲炎への注意です。

 

インプラント周囲炎とはインプラント特有の歯周病で、インプラントの周囲に付着したプラーク(歯垢)から細菌が中に入り込み、痛み、腫れ、出血などを引き起こす病気のことです。

 

症状が進むと、顎の骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまうことに繋がります。

 

 

こちらは歯科医師の腕のみでは予防しきれない部分ですので、日々のお手入れを丁寧にしっかり行っていただくこと、歯科医院へ定期検診に必ず来ていただくことが重要となります。

4.インプラントの見た目が悪い

インプラントは、金具などの露出が無く、天然歯とほぼ変わらない色・透明度が再現でき、その審美性の高さも人気のひとつです。

 

しかし、歯科医師の腕によっては、中の部品が歯茎から透けてしまい、黒ずんで見えてしまったり、人工歯の部分だけ歯が長く見える、出っ歯のようになってしまうことがあります。

5.痛みや腫れ、しびれなどの症状が続く

インプラント手術は歯茎を切開して骨に穴を開けていますので、手術後は麻酔がしばらく効いたままになり、患部周辺の感覚がマヒしたり、痺れたりします。

 

基本的には、処方される痛み止めをしっかり飲んでおけば生活に支障が出るようなことはありません。

 

麻酔は術後数時間で切れますので、痺れが何日も続くことはありませんし、痛みも数日で治まります。しかし、それ以上長く痛みや腫れ、痺れなどが続いている場合は、手術の際に神経を損傷した可能性などが考えられます。

インプラント治療が失敗したときの相談先

 

「これ、失敗してない?」と考えられる上記のような状況になった際、どこに相談しに行くのがいいのでしょうか。

治療を担当した歯科医師

インプラント治療箇所に異変を感じたら、インプラント手術を行った歯科医院にすぐに相談に行きましょう。

 

歯科医院によって、不具合が起きた際の再治療が有料か無料かは分かれます。失敗の原因が歯科医師にあることが明確であれば、返金対応をしている歯科医院もありますので、できれば治療前にそのあたりもしっかり確認しておきましょう。

セカンドオピニオンの歯科医師

インプラント治療を受けた歯科医院に相談してもしっかり対応してくれなかった場合は、セカンドオピニオンとして他の歯科医院に相談してみることもひとつです。

 

「失敗された」「しっかり対応してくれなかった」というショックを抱えたまま、同じ歯科医院でその後も治療を続けることは心情的にもつらいものがあると思います。

 

実績が豊富で多くの知識を持っている歯科医院を改めて探して、状況を詳しく伝えて相談してみましょう。

公益社団法人 日本口腔インプラント学会

インプラントの手術・治療は、専門の資格などは特に不要で、歯科医師免許を持っていれば誰でも行うことができます。

 

その中で「信頼できるインプラント歯科医師」を判断するひとつの物差しとして、「日本口腔インプラント学会」があります。

 

日本口腔インプラント学会に登録していることや、日本口腔インプラント学会から認定されている歯科医師がいる歯科医院であれば、実績や技術などを保証されていることになります。

 

本町通りデンタルクリニックにも、日本口腔インプラント学会の認定医が多く所属しております。

 

日本口腔インプラント学会のホームページでは、インプラントに関する正しい知識やデータの開示、インプラント体験談などのコンテンツが用意されています。

 

その中に、「口腔インプラント治療相談窓口」があります。

 

各地の歯科医院や大学病院がその窓口を担っていますので、窓口リストにあるお近くの歯科医院・口腔科を探し、相談に行くことができます。

※予約制・有料

 

口腔インプラント治療相談窓口

国民生活センター・消費者センター

国民生活センターや消費者センターでは、消費者のあらゆる購買トラブルに関して相談を受け付けています。

 

インプラントも購買活動のひとつなので、相談の対象になります。

 

国民生活センターや消費者センターが患者様と歯科医院の間に第三者として入り、交渉やサポート、助言などを行ってくれます。

 

国民生活センターに過去寄せられたインプラントに関する相談例

各都道府県の消費者ホットライン一覧

弁護士

明らかに「医療ミス」だと確信できる内容なら、弁護士に相談してみるのもひとつです。

 

相談費用がかかりますし、民事訴訟を起こすことになれば裁判費用もかかることになりますが、慰謝料などを勝ち取ることもできます。

 

セカンドオピニオンを受けてみて「医療ミス」と判明してから弁護士事務所に相談に行くとスムーズです。

 

国民生活センター・消費者センターと同じように、第三者として患者様と歯科医院の間に入ってサポートしてくれるので、心情的負担はかなり軽くなります。

インプラント治療の失敗を未然に防ぐポイント

 

「もし自分が失敗されたら…」と不安になってしまうような事例をいくつか挙げてしまいましたが、自分次第でそのようなトラブルを未然に防ぐことも充分に可能です。

治療実績が豊富な歯科医師を選ぶ

まずは、失敗されないような腕のいい歯科医師をしっかり見抜き、選ぶことが最も重要です。

 

先ほどお伝えしたように、インプラント手術・治療は歯科医師なら誰でも行うことができます。そしてインプラントは一般的な歯科知識とはまた違う知識を必要とします。

 

それらの知識や経験がない歯科医師と、専門的に多くの知識を学んで多くの実績を持つ歯科医師となら、どちらに担当してほしいか、答えは明確です。

 

インプラント治療の評価が高く、多くの患者様を担当してきた実績がある歯科医院なら、ホームページなどに必ず記載があるはずです。

 

または、先ほどご紹介した「日本口腔インプラント学会」や「国際口腔インプラント学会」に登録していたり、認定されている医師が在籍しているなどの目印があるはずです。

 

ホームページの確認だけではなく、実際に出向いてみることも大切です。インプラント治療には数ヶ月の治療期間を要しますので、長い期間に通いきれる立地かどうか、スタッフの対応、歯科医師からの説明内容、設備の充実度、保証制度などを聞いてみて、「信頼できる」と思える歯科医院を選びましょう。

 

関連記事:インプラント専門医・歯科医院の選び方とは?押さえておきたいポイント11選を徹底解説

歯科医師としっかりコミュニケーションをとる

通院する歯科医院が決まったら、治療に入る前に担当医師と治療内容や治療方針などをしっかり話し合い、「言った、言わない」の水掛け論にならないようにしておくことも大切です。

 

このときに、患者様のご要望も遠慮せずにすべてしっかり伝えましょう。

 

もし治療中に疑問が出たり不安を感じる状況になった場合、すぐに担当医師とコミュニケーションが取れる環境であることも重要です。

 

担当医師まで迅速に状況が伝わらない等、スムーズに対応してもらえない様子が見てとれる歯科医院は避けるべきでしょう。

日頃のセルフケアを怠らない

インプラントを長く快適に使っていくためには、ご自身のケアも大きくそれを左右します。

 

「インプラントは人工歯だから虫歯にならない」という認識は間違いで、むしろ菌が入り込みやすい環境になります。

 

プラークが溜まらないように、かつ歯茎を傷つけないように柔らかい歯ブラシで細かく丁寧に日々の歯磨きをしていきましょう。歯間ブラシやフロスの使用もおすすめです。

 

そしていち早く異変に気付けるように、歯科医院での定期メンテナンスも必ず行くようにしてください。インプラント周囲炎の初期症状は自分では気づきにくいことが多く、歯科医師のチェックが必要不可欠です。

 

関連記事:インプラントのメンテナンスにかかる費用とは?相場や必要性も解説

 

また、インプラントにトラブルが起こらないようにするには、日頃の生活習慣も大切です。

 

歯ぎしりや食いしばり癖がある人はマウスピースの作成を検討したり、喫煙習慣のある人は禁煙も視野に入れてください。

 

関連記事:インプラント治療後のアフターケアとは?寿命を延ばすケア方法を全解説

まとめ

インプラントを検討する際に多くの人が不安に思う「失敗」について解説しました。

 

人体に関することに100%は無いので、医療ミスや失敗がゼロというわけにはいかないのが現実ではあります。

 

しかし、そのほとんどは「信頼できる歯科医院を選ぶ」「治療後はセルフケアを徹底する」、このふたつで回避することができます。

 

必要以上に怖がらず、且つ慎重に丁寧に向き合うことで快適なインプラント生活をお送りいただきたいと思います。

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