インプラントがあるとMRIは受けられない?検査前に知っておきたい安全性と対策

2025.06.19

 

レントゲン検査やCT検査、MRI検査などを受ける際に、「ネックレスなどの金属製のものははずしてください」と説明を受けた経験のある人は多いと思います。

 

これは、体の内部を撮影する際に使用する電波やX線が、金属に反応してしまうためです。その理由から、「金属の部品を埋め込むインプラントは、これらの検査を受けられなくなってしまうのでは?」という噂があるようです。

 

この疑問にお答えしつつ、検査を受ける際の準備などをお伝えしていきます。

インプラント治療後もMRI検査は原則受けられる!

MRI検査とは、磁気と電波を使って内臓の状態を把握する検査になります。CT検査も同じように体の内部を見る検査になりますが、CTで使用するのは放射線(X線)であったり、長所・短所がそれぞれ少しずつ違います。

 

CT検査は体の中に金属が入っていても検査に影響はありませんが、MRIは磁気が金属に反応してしまい、金属部分の発熱などの危険性があります。

 

この理由から、金属の部品を使用していることの多いインプラント治療を受けている人はMRI検査が受けられない、という噂に繋がったようです。

 

しかし、インプラントに使用されているチタンという金属は磁気の無い金属です。インプラント治療を受けていても、ほとんどの場合はMRI検査を受けることができますので、ご安心ください。

 

ただし、検査を受ける前に「インプラントになっている歯がある」と医師に伝えることを忘れないようにしましょう。

インプラント治療後にMRI検査ができないケースもある

インプラント治療を受けていても、ほとんどの場合はMRI検査が問題なく受けられますが、中には例外もあります。

 

現在、インプラント治療で使用されているのはチタン製の部品がほとんどですが、ステンレススチールなどの磁性のある金属を使用していることが稀にあります。

 

インプラント治療が日本で始まって間もない頃に使用されていた部品だと、MRIとの兼ね合いや安全性が確認できていないものもあります。

オーバーデンチャーを使用している場合

オーバーデンチャーとは、インプラントと入れ歯を組み合わせた治療法になります。

 

歯をすべて抜歯した場合に、一般的な総入れ歯にするのではなく。4箇所(オールオン4)または6箇所(オールオン6)をインプラントにして、アバットメント部分に磁石を埋め込み、磁力で入れ歯と固定する方法です。

 

この磁石とMRIの電磁波が重なるとインプラントに不具合が起きたり発熱してしまうことがあるため、MRI検査を受けられない場合があります。

 

 

 

医療用インプラントを使用している場合

「インプラント=歯科治療」という印象が定着していますが、実はインプラントというのは体内に人工的な部品を埋め込むこと全般を指しています。

 

例えば、心臓ペースメーカーや人工関節も「インプラント」に含まれます。

 

それらに使用されている部品の素材によっては、MRIの磁気に反応してしまうことがあるため、歯科インプラントのほうでは問題がなかったとしても、その他の医療用インプラント治療を受けている方はMRI検査を受けられない可能性があります。

万が一インプラントが原因で検査を断られてしまったときの対処法

 

もし、担当医師から「インプラントをしているならMRI検査は受けないほうがいい」と言われてしまった場合は、どのように対処すればいいのでしょうか。

インプラント治療をうけた歯科医師に相談する

まず、インプラント治療を受けた歯科医院に、MRI検査を受ける状況になったことを相談に行きましょう。

 

自身の人工歯根にどんな素材が使われているのか、どんな治療を受けたのかを把握するためです。

 

使用されている部品がMRI検査へ影響が出ないものであると確認が取れれば、その旨を担当医師に伝えます。

 

自己判断で「インプラントはMRI検査に支障がないと聞いたから大丈夫だろう」と医師に告げずに検査を受けてしまうと思わぬトラブルに繋がる可能性があります。

 

MRI検査を受ける際は、念のためまず歯科医師に相談することが重要です。

医師の指示に従う

MRI検査を受けることになった、と歯科医師に報告・相談すると、以下のような返答が返ってくることがほとんどでしょう。

 

「使用している部品は磁気性の無いチタンですので、MRI検査も問題ありません」

→この旨を担当医師に伝えていただければそのまま検査を受けることができます。

 

「被せ物の部分を取り外しておきましょう」

→被せ物(上部構造)の部分にのみ金属製の部品が使用されている、又は「念のため」という意味合いで被せ物を一時的に取り外す措置があります。検査が終わればまたすぐに戻してもらえますので、ご安心ください。

 

 

「使用している部品とMRIとの相性が不明なので、MRI検査は避けておいたほうがいいでしょう」

→インプラント治療が日本に輸入されて間もない頃は、チタン以外の金属を使用したインプラントもありました。インプラント治療を受けた時期などによっては、MRI検査を受けられないケースもありますので、この旨を担当医師に伝えて、MRI以外の検査の検討をお願いしましょう。

MRI以外の検査方法を検討する場合

 

「MRI検査は避けておきましょう」という判断になった場合、MRIの代用となる検査には、どんなものがあるのでしょうか。

 

  • CT検査(コンピュータ断層撮影):X線を利用して体内の断面画像を取得する検査方法
  • 超音波検査(エコー検査):高周波の音波を利用して体内の構造を画像化する検査方法 ​
  • X線検査(レントゲン撮影):X線を使用して体内の特定部位の画像を取得する一般的な検査方法
  • 核医学検査(シンチグラフィーなど):放射性物質を体内に投与し、その分布を画像化することで臓器や組織の機能を評価する検査方法

 

体の内部を撮影・確認する検査はMRI以外にもこれだけあります。病院の規模などによって可能な検査の種類は変わってきますので、もし「MRI検査が受けられない」となれば、様々な最新の検査機器が充実している大きな病院を選ぶこともひとつです。

インプラント治療後でもMRI検査は原則可能

「インプラントをしているとMRI検査が受けられない」という噂についてご説明しました。

 

レントゲン検査やCT検査を受ける際に「金属製のものはすべて外してください」と指示をされることから出た噂のようですが、磁気性の無いチタン製のインプラントならMRI検査も問題なく受けられます。

 

しかし、インプラント治療を受けたすべての人がチタン製の部品ではないということや、歯科インプラント以外の人工部品が体内に埋まっている人などはMRI検査を避けたほうがいいケースもあります。

 

どちらにせよ、MRI検査を受けることになった際は自己判断せずに、まずは担当医師にインプラントが埋まっていることを必ず伝えましょう。そして「歯科医院で念のため確認を」という指示が出たら、必ず歯科医院で相談するようにしましょう。

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