30代でインプラントは早い?不安を解消するポイントを徹底解説

2025.04.11

 

虫歯や歯周病、交通事故などの外傷が原因で、30代でも自分の歯を失うケースがあります。失った歯を取り戻すには、天然歯と見た目が変わらないインプラント治療が有効です。

 

しかし、30代でインプラントにするのは早いと感じたり、治療方法や費用が気になったりするなど、さまざまな不安を抱えている方も少なくないでしょう。

 

今回は、30代で歯を失う原因、30代こそインプラント治療をすべき理由、治療を受ける際の注意点について解説します。

30代でインプラントは早すぎる?

 

インプラント治療は、顎の骨の発達が完了していれば受けることが可能です。一般的な目安として、女性は18歳、男性は20歳でインプラント治療が受けられるようになります。

 

「歯を失う=高齢」というイメージがあることから、30代でインプラントにするのは早いと感じる方も多いでしょう。しかし、仕事や子育てに忙しくなる30代は、歯に関するトラブルが起きやすくなる年代でもあります。

 

次では、30代で歯の悩みを抱える人が多くなる理由と、30代で歯を失う人の割合について解説します。

歯がボロボロ…30代で悩む人は多い?

30代になってから、歯がボロボロになってきたと感じる方もいるかもしれません。30台が歯のトラブルを抱えるおもな原因としては、以下のものが挙げられます。

1. 虫歯・歯周病

虫歯が進行すると、歯の内部にある象牙質や神経である歯髄までダメージを受けてしまい、歯が溶けてボロボロになります。歯周病が進行した場合は、歯茎に炎症が起きて歯を支える歯槽骨が溶け、歯がボロボロになったり自然と抜け落ちたりします。

2. 食いしばり・歯ぎしり

個人差はありますが、30代以降は歯の強度が落ち始める時期です。食いしばりや歯ぎしりが癖になっている場合、歯や歯茎に大きな負荷がかかるため注意しなければなりません。食いしばりや歯ぎしりは、歯の表面が欠けたり割れたりするだけでなく、歯茎や骨への負担から歯周病が進行しやすくなる原因にもなります。

3. 酸蝕歯

酸蝕歯(さんしょくし)とは、強い酸性によってエナメル質が溶けた歯のことで、酸性の強い食べ物や飲み物の過剰摂取、胃酸の逆流などがおもな原因です。酸蝕歯が進行すると、歯が変形したり、神経が露出して痛みやしみを感じたりします。

 

このように、歯のメンテナンス不足や生活習慣により、30代であっても歯がボロボロになる可能性は十分にあるため注意しましょう。

30代で歯を失う人の割合とは?

厚生労働省の調査によれば、25歳~34歳で15%、35歳~44歳で23.6%の方が、1本またはそれ以上、自分の歯を失っています。喪失した歯の平均本数は、25歳~34歳で0.4本、35歳~44歳で0.6本です。

 

参考:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

 

30代で歯を失う原因の多くは虫歯、または「破折」で、歯周病による歯の喪失はまだまだ少ない状況です。

 

厚生労働省の同調査によれば、歯周ポケットの深さがやや進行した歯周病といえる4mm以上ある人の割合は、30歳~34歳で33.3%、35歳~39歳で33.7%でした。

 

歯周ポケットの深さが4㎜以上に達する人の割合は、高齢になるにつれ増加する傾向にあります。

 

参考:令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要

 

なお、破折とは歯が割れてヒビが入ったり折れたりすることを指します。破折には歯の上部で起こる歯冠破折と、歯の根の部分で起こる歯根破折があり、事故や外傷のほか、虫歯・食いしばり・歯ぎしりなどがおもな原因です。

 

歯を失うと咀嚼や飲み込む機能が低下するだけでなく、発音機能の低下や外見にも影響する可能性があります。

インプラントは30代におすすめ!その理由

インプラントは高度な外科手術を施すため、治療費が高額になることが一般的です。しかし、30代の方こそ費用をかけてでもインプラント治療をするのがおすすめです。

 

ここからは、30代のうちにインプラント治療を受けたほうが良い4つの理由について解説します。

見た目の美しさや機能性を保てる

インプラントの特徴は、入れ歯やブリッジと比べて審美性が高いことです。

 

インプラントの人口歯は、天然の歯と見た目が大きく変わりません。食事や会話も自然に楽しめるため、QOL(生活の質)を維持できます。

 

また、インプラントによって顎の骨に噛む力が伝わるため、噛む刺激がないことで骨が衰えて痩せてしまうのを防げます。顔の輪郭が変化しにくくなるため、若々しい顔立ちを保ちやすいでしょう。

 

なお、インプラント体の主材料であるチタンは、骨と結合する性質を持ちます。身体になじみやすく外れにくいため、長期間にわたって歯を保つことが可能です。

 

見た目や使い心地など、天然歯と同等の質を求める方にはインプラントがおすすめです。

免疫力が高く手術のリスクが低い

インプラント治療にともなうリスクには、以下のものが挙げられます。

  • 痛みや腫れ、出血などの後遺症
  • インプラント周囲炎などの感染症
  • 骨密度や骨量不足によるインプラントの抜け落ち
  • 骨密度の低下による骨の結合不良 など

体力があるうえに免疫力も高く、顎の骨が健康な人も多い30代は、インプラントの外科手術によるリスクを抑えられるため、インプラント治療に適した年代といえるでしょう。

長期で使えるのでコストパフォーマンスが良い

インプラント治療には、健康保険が適用されません。そのため、1本の歯を治療するだけでも治療費は数十万円と高額です。

 

一方で、インプラントは毎日の歯磨きや、歯科クリニックでの定期的なメンテナンスによって、10年以上使うことが可能です。入れ歯やブリッジのように頻繁に交換する必要もないため、早い段階で治療をすることで結果的にコストが抑えられます。

 

コストパフォーマンスを重視する方こそ、30代で治療を受けるのがよいでしょう。

健康な歯を守りながら治療できる

入れ歯やブリッジは、治療の過程で両隣の健康な歯を削る必要があります。一方、インプラントは歯を失った部分だけに治療をするため、ほかの歯に影響を与えず、健康な歯をそのまま残すことが可能です。

30代でインプラントを選ぶ際の注意点

 

インプラントは、10年以上の長期間にわたって使用するのが一般的です。治療費も高額になる場合が多いため、事前に情報収集をすることが大切です。

 

30代の方がインプラントを受ける場合、以下のポイントに注意しましょう。

治療期間・費用を確認する

インプラント治療では、1本当たり30万円~50万円ほどの費用がかかります。具体的な費用は歯科クリニックによって異なるため、見積もりを出してもらい、予算内に収まるか確認しましょう。

 

また、外科手術のほか、顎の骨と結合させるための時間や装着する時間などが必要なため、治療には半年~1年ほどかかります。仕事や家庭の予定などを考慮し、余裕を持ったスケジュールで治療を受けることが大切です。

リスクやデメリットがあることを理解する

インプラント治療では、外科手術により痛みや腫れ、出血、感染症などが起きる可能性があります。30代はインプラント治療のリスクが低いとはいえ、手術は身体に負担がかかるものと心得ておきましょう。

 

また、顎の骨の状態や骨質、本人の健康状態によっては、外科手術が難しいと判断される場合もあります。30代の方でも、状況次第ではインプラント治療ができないケースもあることを理解しておきましょう。

メンテナンス・セルフケアの方法を確認する

セラミックなどで作られたインプラントの人口歯は、天然歯と見た目はほとんど変わりません。ただし、天然歯に比べると、汚れが付きやすいデメリットがあります。

 

インプラントを使い続けるためには、日々の適切な歯磨きだけでなく、年に3回程度の歯科クリニックでのメンテナンスが必須です。

 

メンテナンスでは、口腔内のチェック、レントゲン検査、ブラッシング指導、クリーニングなどを実施してインプラントの状態を確認します。

 

適切なケアを怠ると「インプラント周囲炎」を起こしやすくなるため、注意しましょう。特に喫煙者は感染リスクが高まるため、禁煙も検討してみてください。

妊活・出産のタイミングを考慮する

30代の女性で妊娠・出産を計画している場合は、インプラント治療に限らず、妊娠前に歯科治療を完了させておくほうがよいでしょう。

 

妊娠中はつわりが起きるうえに、仰向けの体勢が母体の負担となることがあります。さらに、インプラント治療に欠かせないレントゲンやCTの撮影、麻酔薬の使用、治療のストレスなどによって、母体と胎児の発育に悪影響をおよぼす可能性も考えられます。

 

インプラントの治療中に妊娠が発覚した場合、妊娠週数によっては治療を一時中断せざるを得ません。その際は、部分入れ歯やブリッジを一時的に活用するなど、母体と胎児に負担をかけない治療が必要になります。

 

インプラント治療は、完了までにある程度の時間を要するため、妊娠の可能性を考慮して治療を受けるか検討しましょう。

お金がなくても諦めない!インプラント治療の費用を抑えるコツ

前述のとおり、インプラントは健康保険の適用外で治療費が高額であることが一般的です。ただし、経済的に余裕がない場合でも、インプラント治療費の負担を軽減できるコツがあります。

 

次に、経済的な理由でインプラント治療を迷っている30代の方に向けて、費用を少しでも抑える3つのコツについて解説します。

医療費控除を受ける

医療費控除とは、1年間に支払った医療費の一部を所得から差し引く制度のことです。医療費控除は、1年間の医療費が10万円を超えると適用されるため、インプラント治療ではほとんどのケースが医療費控除の対象となります。

 

医療費控除額は、1年間の医療費の総額から10万円(所得が200万円までの方は所得の合計額の5%)を引いて計算します。

 

医療費控除を受けるには、自分で「確定申告」をしなければなりません。申告に必要な「医療費控除の明細書」と医療費の領収書を用意し、自分が住んでいる地域を管轄する税務署に申告しましょう。

 

ただし、審美目的のインプラントは治療に該当しないため、医療費控除の対象外になる点に注意が必要です。

複数のクリニックで見積もりを依頼する

インプラント治療は自由診療のため、歯科クリニックごとに治療費が異なります。費用をなるべく抑えて質の高い治療を受けるためには、複数の歯科クリニックから見積もりをもらって比較しながら検討するとよいでしょう。

 

ただし、顎の骨に手術をするインプラント治療では、専門的な知識や高度な技術が必要です。治療費があまりにも安い場合、歯科医師の治療経験が極端に少なかったり、インプラントが格安メーカーのものだったりする可能性があります。

 

トラブルを防ぐためにも、治療費が安すぎる歯科クリニックは避け、治療実績が豊富で信頼できるところを選ぶことが大切です。

デンタルローンを利用する

デンタルローンとは、歯科治療を目的としたローンのことです。用途が歯科治療のみに限定されており、ほかの用途では利用できません。デンタルローンでは、インプラント治療や矯正治療、ホワイトニングなどの高額な治療費をまかなうことが可能です。

 

金利は、カードローンが1.50%~18.00%、クレジットカードが8.00%~18.00%のところ、デンタルローンは2.50%~8.80%と、2つと比べて低い傾向にあります。

 

デンタルローンによって分割払いが可能になれば、金銭的な負担が軽減されるため、インプラント治療を利用しやすくなるでしょう。ただし、治療費が安くなるわけではないため、計画的に利用する必要があります。

 

また、デンタルローンは通常のローン商品と同様に、審査に通ることで初めて融資を受けることが可能です。審査に落ちてしまった場合は、用途を問わないフリーローンなどを検討しましょう。

30代でのインプラントは将来の自分への投資

30代は、インプラントを検討する時期として決して早すぎるわけではありません。仕事や子育てに忙しい年代だからこそ、歯に不安を抱えている方にはインプラント治療がおすすめです。

 

治療費は高額になりますが、インプラントは毎日のケアや定期検診など適切にメンテナンスをしていれば10年以上持ちます。長期的な視点で考えた場合、30代でインプラントをすることは将来の自分自身への投資といえるでしょう。

 

費用の高さがネックになっている場合は、医療費控除やデンタルローンを利用するなどの手段もあります。

 

インプラント治療では高い技術が要求されるため、複数のクリニックから見積もりをもらい、金額だけでなく歯科医師の治療実績などを確認しながら検討するようにしましょう。

 

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