歯を全部インプラントにできる?おもな治療方法や特徴・注意点

2025.04.11

 

事情があって多くの歯を失い、今後のために全部の歯をインプラントにしたいと検討している方もいるのではないでしょうか。数は限られますが、歯科医院によっては、そうした大がかりな治療も可能です。

 

しかし、全部の歯をインプラントにするといっても、治療方法にはいくつかの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、ひととおり把握してから選ぶことが大切です。

 

この記事では、全部の歯をインプラントにするおもな方法と特徴、注意点などを解説します。全部の歯をインプラントにしたい方、本当に全部の歯をインプラントにできるのか気になる方は、ぜひご覧ください。

全部の歯をインプラントにするときの選択肢

全部の歯をインプラントにする方法には、おもに以下の3種類があります。

  • 総インプラント(フルタイプインプラント)
  • インプラントオーバーデンチャー(インプラント義歯)
  • オールオン4/オールオン6

治療法ごとに特徴やメリット、メンテナンス方法が異なります。無理なくメンテナンスができて、良好な状態を維持できる治療法を選ぶことが大切です。

 

また、埋入するインプラントの本数も異なるため、費用の目安や体にかかる負担も変わります。それぞれの治療法についての理解を深め、慎重に検討しましょう。

総インプラント|1本1本埋入するインプラント

総インプラントは、歯を失った箇所へインプラントを1本ずつ埋入する方法です。口腔内に歯が数本残っていても、抜歯せずに治療を進められます。

 

ただし、埋入するインプラントの本数が多くなるため、費用がかさむ傾向がある点に注意が必要です。また、一度に複数本を埋入する場合は、手術時間が長くなり、身体的な負担が大きくなります。

 

インプラントオーバーデンチャー|入れ歯を使うインプラント

インプラントオーバーデンチャーは、埋入した2~4本のインプラントを支えとして、入れ歯を装着する方法です。部品の形に応じて、ロケーターアバットメント、ボールアバットメント、バーアバットメントなどの種類があります。

 

インプラントオーバーデンチャーの大きな特徴は、以下の3つです。

  • 入れ歯を完全に固定しないため、取り外してお手入れができるタイプも多い
  • インプラントの埋入本数が比較的少なく済み、費用面や身体面の負担を軽減しやすい
  • 総入れ歯・部分入れ歯の双方に対応でき、抜歯せずに済む場合もある

 

オールオン4・オールオン6|最小限の埋入本数で対応するインプラント

オールオン4やオールオン6は、限られた本数のインプラントを埋入し、すべての義歯を支える方法です。オールオン4では4本のインプラントを、オールオン6では6本のインプラントを埋入し、上部構造として12本の歯と歯茎が付いた部品を固定します。

 

オールオン4やオールオン6は、総インプラントよりも埋入本数を抑えられるため、費用面・身体面の負担を軽減できる点がメリットです。また、骨量が多い場所を選んでインプラントを埋入できます。歯を失ってから時間が経ち、骨量が減少している方でも治療できる可能性があるでしょう。

 

その一方で、下記のような注意点もあります。

  • 高い治療技術が必要なため、対応できる歯科医院が限られる
  • インプラントオーバーデンチャーよりも埋入本数が多い、専門性が高いなどの理由により、費用がかさみやすい
  • 完全に固定するため、天然歯と同様のケアが必要
  • 残っている歯があれば抜く必要がある

 

全部の歯をインプラントにするメリット

 

歯を失ったとき、複数ある治療法のなかからインプラント治療を選ぶメリットは何でしょうか。ここではインプラントを埋入するメリット3つと、インプラントオーバーデンチャーやオールオン4、オールオン6ならではのメリットを2つご紹介します。

インプラントを埋入するメリット

インプラント治療を選ぶメリットは3つあります。歯を失う前と同じように過ごしたい方や、見た目が気になる方にとって、メリットの大きい治療法です。

メリット1. 天然歯と同様に食事や会話を楽しめる

インプラント治療では、インプラント体を骨に埋入し、上部にパーツを固定します。義歯が顎骨に固定されるため、天然歯と同様の噛み心地を得られるでしょう。また、話すときに部品のずれや違和感が生じることが少なく、今までどおりに会話を楽しめる点も魅力です。

 

インプラント治療は、総入れ歯やブリッジを用いる場合によくある、下記のような悩みを抱きたくない方に向いている治療方法といえます。

  • 咀嚼をしたときやしゃべるときに違和感がある
  • 食事や会話のときにずれてしまう
  • 今までのように、しっかりと噛めない
  • 入れ歯やブリッジの間に食べ物が挟まってしまい、痛い
  • 入れ歯の厚みやブリッジの金具が邪魔になり、しゃべりにくい

メリット2. 骨・筋肉の減少を防げる

顎の骨は、咀嚼時にかかる負荷がなくなると、骨量が減って痩せてしまいます。しかし、インプラント治療をすると、インプラント体が顎骨と結合して刺激を与えるため、口元が痩せて見えるリスクを減らせます。

 

また、しっかりと噛めることで、頬の筋肉量を維持しやすい点もメリットの一つです。顎をしっかりと動かして咀嚼し、筋肉を使えば、顔のしわ・たるみを予防できます。健康的で若々しい見た目を維持したい方にとって、メリットの大きな治療法といえるでしょう。

 

関連記事:インプラントで噛めるようになるとアンチエイジングにも繋がります

メリット3. 審美性が優れている

インプラントの歯部分(被せ物)にはセラミックやジルコニアなどが用いられており、天然歯のような透明感・色味が再現されています。全部の歯をインプラントにすると色味に統一感が生まれ、特に審美性の高い見た目になるでしょう。年数が経って素材が劣化してきても、治療部分だけ目立つ状況に陥るのを避けられます。

 

また、全部の歯をインプラントにする場合、歯と歯茎で形成された上部構造を用いるため、歯茎の後退が起こっても、インプラント体のネジが見えてしまうトラブルを防げます。もちろん、ブリッジで用いるような金属のバネが見えるリスクもないため、見た目が悪くなることを避けたい方にも適しているでしょう。

インプラントオーバーデンチャー・オールオン4・オールオン6のメリット

全部の歯をインプラントにする際によく用いられる、インプラントオーバーデンチャー、オールオン4、オールオン6ならではのメリットもあります。総インプラントと比較した際のメリットを2つご紹介します。

メリット1. 身体的な負担が少なくて済む

全部の歯を1本ずつインプラントにするよりも埋入本数が少なくて済むため、身体的な負担が少ない傾向があります。埋入本数が少ないほど、腫れや痛みが生じるリスクを軽減できるほか、手術そのものの時間も短くできるためです。

 

また、インプラントオーバーデンチャーなどでは、顎骨の量が多い場所を選んで埋入できる点も大きなメリットです。1本ずつインプラントを埋入するケースでは、顎骨の量が少ない方の場合、骨造成手術も行なわなければなりません。追加の治療が必要になれば、身体的な負担が大きくなるだけではなく、治療期間も長引きます。インプラントオーバーデンチャーなどの方法であれば、骨量の少ない方でも、負担を軽減しながら治療に臨めるでしょう。

メリット2. 治療費を抑えやすい

インプラント治療では、埋入本数が多くなるほど費用負担も増えます。治療は基本的に自由診療で保険適用外となるため、まとまった費用が必要となるでしょう。特に総インプラントでは片顎で14本程度を埋入するため、莫大な費用がかかります。

 

一方、インプラントオーバーデンチャーなどの治療法では、2~6本程度を埋入するだけで済むため費用も抑えられます。

全部の歯をインプラントにするときの費用

インプラント治療は自由診療(保険適用外)のため、費用相場について一概にはいえません。治療費用は、以下のような要素によって左右されます。

  • 使用しているインプラントのメーカー
  • 埋入するインプラントの本数
  • 被せ物の素材
  • 口腔・顎骨の状態
  • 追加治療(骨造成手術など)の有無
  • 歯科医院 など

費用の目安は、インプラント1本あたり30万~50万円程度です。仮に28本インプラントを入れる場合、840万円~1,400万程度かかる計算です。インプラントオーバーデンチャーは50万~150万円程度、オールオン4は300万~400万円程度かかります。

 

なかには、治療方法によらず、インプラントの本数×単価で費用を設定している歯科医院もあります。希望する治療方法の目安を把握したうえで、歯科医院を選びましょう。

全部の歯をインプラントにする際の注意点

 

全部の歯をインプラントにするときには、押さえておくべきポイントが2つあります。それぞれチェックして、治療方法や通院先選びに役立てましょう。

全部の歯をインプラントにできる歯科医院は限られる

全部の歯をインプラントにする場合、インプラントを数本入れるケースよりも大がかりな手術となり、対応できる歯科医院・歯科医師が限られます。そのため、近所に対応可能な歯科医院が見つからない可能性もあるでしょう。

 

インプラント治療は、埋入して終わりではなく、3~6ヵ月に1回程度の定期的な通院とメンテナンスが必要です。遠方の歯科医院で治療を開始すると、交通費がかさんだり、通院が大変に感じたりするおそれがあります。通院ができない場合は、入れ歯やブリッジなど、ほかの治療方法を検討する必要性が生じることもあるでしょう。

 

対応可能な歯科医院が通院できるエリアにあるか、あらかじめ確認しておきましょう。

手術時間が長くなる

インプラントを1本埋入する場合、インプラント体を埋入する一次手術には1~3時間程度、アバットメントを装着する二次手術には30分程度必要です。本数が多くなるほど手術時間は長くなるため、全部の歯をインプラントにする場合は身体的な負担が大きくなります。治療が怖いと感じる方にとっては、精神的な負荷もかかるでしょう。

 

また、口腔状態によっては、追加手術が必要となり、治療期間が長期化する可能性もあります。不安がある方は、歯科医師と相談しながら治療計画をしっかりと立てることが大切です。

インプラントを検討するときは歯科医院へ相談を

全部の歯をインプラントにしようと思っても、どの治療法を選べば良いか迷ってしまう方は多いでしょう。

 

ご紹介したなかで、どの治療方法が適しているかは、状況によって異なります。顎骨の骨量を調べたり、口腔状況を確認したりしながら、選択肢を絞っていく必要があるでしょう。そのため、迷ったらまずは歯科医院へ相談し、カウンセリングを受けることをおすすめします。

 

本町通りデンタルクリニックでは、インプラント治療に対応しています。総インプラントの治療も可能です。全部の歯をインプラントにするべきか悩んだら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

本町通りデンタルクリニック

まとめ

全部の歯をインプラントにするときには、総インプラント、インプラントオーバーデンチャー、オールオン4、オールオン6の選択肢があります。それぞれ特徴が異なるため、治療方法を把握したうえで、慎重に検討することが大切です。

 

治療の可否や向いている治療方法は、顎骨や口腔の状況によって異なります。歯科医院で相談を重ねながら、自身に合った治療方法を選びましょう。

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