インプラント治療は痛い?痛みが出やすいタイミングと予防方法
2025.09.04
「機能性も審美性も高いというインプラント、やってみたいけど痛いのが怖い…」と治療をためらっている人は多いのではないでしょうか。インプラント治療でなくても、「歯医者さんが苦手」と思う人は決して少なくないはずです。
現在は「患者さんの身体的・精神的負担を減らす」という考え方の歯科医院がほとんどですが、数十年前までは「治療が痛くても我慢」という考え方の歯科医師が多かった背景もあるように感じます。
幼少期の痛い治療がトラウマになり、大人になってから歯科医院に通うことができなくなってしまい、虫歯を放置してしまったという患者様も当院に多くいらっしゃいます。
そこまで「歯医者嫌い」という人が多い中、手術を伴うインプラント治療に対して恐怖感を抱く人が多いのも当然です。
しかし、実際のところはインプラント治療はしっかりと麻酔を使用するため、痛みはほとんど無いと言えます。
その中でも、痛みを感じる患者様がゼロというわけではありません。一体どの治療でどれくらいの痛みを感じるのか、また、感じた際の対処法などを解説していきます。
インプラント治療は痛い?
インプラント手術は歯茎を切開して顎の骨に穴を開けますので、術後に腫れや痛みが出るのは避けられない反応となりますが、痛み止めで充分抑えられる程度になります。
歯科治療で「痛い」と言われるのは親知らずの抜歯などがよく挙げられますが、インプラントのほうが軽度の痛みで済む傾向にあります。
術後の痛みが長期的に続くことはありませんが、もし痛みが出てきてしまった場合でも、痛みが軽減するような対処法はあります。
インプラント治療で痛いと感じるタイミング
インプラント手術・治療を受ける際に、痛みを感じることがあるとしたら、そのタイミングは、治療中、術後、抜歯後、定着期間、数年後の5種類に分けることができます。
それぞれに痛みの要因や対処法が異なりますので、詳しく説明していきます。
治療中の痛み
抜歯、手術ともに麻酔をしっかり使用していくため、痛みを感じることはほぼありませんのでご安心ください。
複雑な処置が必要な手術の場合は、手術時間が長くなるため、麻酔が切れてくる可能性もありますが、その際はすぐに歯科医師まで伝えていただければ追加の麻酔を投与していきます。
一般的な歯科治療のときでも、神経に響く可能性のある処置の場合は麻酔注射を打ちますので、経験のある人も多いと思います。
歯茎に表面麻酔を塗ってから麻酔注射を打っていきますが、その「チクッ」とした痛みや、注射自体が怖いという方は、鎮静剤を点滴で打って全身麻酔に近い状態で治療を受けることもできます(自由診療のため保険適用外)。
静脈内鎮静剤をご希望の方は、麻酔医が在籍している歯科医院を選び、鎮静剤使用のご希望をお伝えください。
術後の痛み
インプラント手術は歯茎を切開するため、術後はどうしても痛みや腫れが生じますが、歯科医院で服用される痛み止めをしっかり飲んでおけば、「痛くて眠れない」「痛くて仕事に集中できない」というほどにはなりません。
ただ、以下のようなケースは痛みが出やすい傾向があります。
- 骨の中にある血管や、インプラント箇所周辺の歯肉に負担がかかったとき
- インプラント埋入のために骨・歯肉を移植した場合
- インプラントの埋入本数が多かった場合
特に、歯肉量を補うために他の歯茎から移植をする場合は、移植元のほうに痛みが出ることがあります。
それらのケースに該当する人は、治療前に歯科医師としっかりご相談ください。
抜糸時の痛み
インプラント手術を終えて、経過が良好なら1週間~10日ほどで抜糸となります。糸を抜く際に歯茎が少し引っ張られるので、「痛い」と感じる人もいるようです。
こちらも事前に歯科医師に相談していただければ、抜糸前に麻酔を使用することができます。
定着期間の痛み
抜糸が終われば、インプラント体と骨、アバットメントと歯茎が結合する期間を設けます。
骨と歯茎に部品がしっかり定着する前のこの段階だと、以下の場面で痛みを感じることがあるかもしれません。
- インプラント埋入箇所周辺で硬い食べ物を噛む
- お酒、辛い食べ物、刺激の強い洗口液などを口にする
- 歯ブラシで強くこする
定着期間が終わるまでは、できるだけインプラント箇所に負担をかけないような生活を送っていただくといいでしょう。
また、毎日のブラッシングで汚れをしっかり取り除いていただくことは非常に重要ですが、歯茎を傷つけないように優しくゆっくりブラッシングするよう、ご注意ください。
数年後の痛み
インプラント治療が終わってから数年後に痛みを感じるケースも稀にあります。その原因は以下のようなことがほとんどです。
- インプラント周囲炎が生じている
- 噛み合わせが悪くなっている
インプラント周囲炎とは、インプラント特有の歯周病のことです。インプラント箇所周辺にプラーク(歯垢)が溜まると、歯茎とアバットメントの間から細菌が侵入して歯周病になってしまいます。
痛みや腫れ、出血を伴う症状が出ますので、インプラント治療後に痛みを感じることがあれば、インプラント周囲炎の可能性が高いと言えます。
インプラント周囲炎はインプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。痛みを感じたらすぐに歯科医院で診察を受けましょう。
インプラント治療後には、必ず歯科医院のほうから定期メンテナンスの案内を受けるはずです。インプラント周囲炎の初期症状は自分で気付かないこともあるため、痛みを感じてしまう前に処置ができるよう、定期メンテナンスには必ず通うようにしましょう。
関連記事:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説
また、インプラント治療を行う際には必ず他の歯との嚙み合わせもしっかり調整していますが、加齢や食いしばり癖などによって、嚙み合わせがズレてきてしまうこともあります。
嚙み合わせが悪く、インプラント箇所に過剰な力が加わって痛みが発生している場合もありますので、こちらもすぐに歯科医院を受診することをおすすめします。
インプラント手術で痛いと感じる期間
インプラント手術を終えて、痛みを感じる期間は一般的に2~3日程度であり、処方された鎮痛剤をしっかり飲んでおけば「我慢できないほど痛い」というほどではありません。
体質によっては痛みを感じないことや、1週間程度続いたりすることもあります。
しかし、痛み止めを飲んでいるのに痛みが和らがない場合や、1週間以上痛みが続いている場合は、すぐに歯科医院を受診してください。術後、患部になんらかのトラブルが起きている可能性があります。
インプラント治療の痛みを軽減するポイント
インプラント手術に関しても、術後に関しても、さほど心配する必要がないほどの痛みであることをご説明してきました。
しかし、特に術後すぐはインプラントの定着のために手術箇所に気を付けながら生活することが、より痛みを軽減させます。
そのためにできることを具体的にお伝えしていきます。
【術後】安静に過ごす
術後すぐは傷口が塞がっていないため、余計な出血を防いだり細菌感染をしないようにすることが大切になります。特に以下のような行動は避けたほうが無難です。
- 長く湯船に浸かる、サウナに入るなど、血行が促進される入浴方法
- 激しい運動
- 指や舌で患部を触る
そして術後すぐは麻酔が効いている状態のため、患部はもちろん、唇や顔面も感覚がマヒしている状態のため、熱いものの飲食や舌・頬の内側を嚙んだりしないようご注意ください。
舌を噛むリスクを抑えるために、術後1~2時間程度は人との会話も控えめにしておいたほうがいいでしょう。
【術後】処方された薬を適切に服用する
術後に処方される薬は主に痛み止めと抗生物質になります。
「もう痛みが無いから」とすべての薬を飲むことをやめてしまう患者さんがいらっしゃいますが、抗生物質は頓服である痛み止めと違い、処方された量を最後まで飲み切っていただくことが大切です。
抗生物質は患部から侵入してくる細菌から守るための薬です。飲むことをやめてしまうと、口の中の細菌が患部から侵入してインプラント周囲炎になってしまったり、インプラントと骨の定着が遅れたりして、インプラントが抜け落ちてしまうことにも繋がります。
痛み止めは痛みが引けば飲む必要はありませんが、抗生物質は必ず最後まで飲みきるようにしましょう。
【術後】硬い食べ物・刺激のある食べ物を避ける
インプラントは、入れ歯やブリッジに比べて咀嚼力が高いことも大きなメリットのひとつですが、術後間もない時期には硬い食べ物を避けたほうが賢明です。
また、出血を防ぐために刺激性のある食べ物もおすすめしません。
硬い食べ物はインプラントと骨の定着を阻害してしまう可能性もありますし、痛みを感じてしまうこともありますので、以下のような食べ物は避けたほうが望ましいでしょう。
- 硬いナッツ類、煎餅など
- 噛みちぎりにくい肉
- ガム・餅・チーズなど粘着性のあるもの
- アルコール、スパイスなど血行促進効果や刺激性があるもの
定着期間に痛みを感じずに過ごすには、できるだけ歯に負担のかからない食べ物を選ぶように心がけましょう。
【日々のメンテナンス】歯磨き・うがいで口腔を清潔に保つ
先ほどお伝えしたように、インプラント治療を受けた箇所は「インプラント周囲炎」というインプラント特有の歯周病にかかりやすくなります。
インプラント周囲炎にかかってしまうと痛みが出て腫れや出血なども伴いますし、インプラント自体への不具合にも繋がってしまいます。
そのリスクを避けるためには、普段の歯磨きをしっかり行い、口内を清潔に保っておくことが重要です。
術後に傷口がふさがって時間が経過しているとはいえ、インプラントが埋入されている箇所に傷がついてしまうことは細菌侵入のリスクを高めてしまうので、良くありません。日々のブラッシングも歯茎を傷つけないように優しく丁寧に行ってください。
できるだけ毛先の柔らかい、毛の細かいブラシを使い、力を入れずに磨いていきましょう。歯間には歯ブラシが入り込みにくいので、デンタルフロスや歯間ブラシなどを併用すると更にしっかり汚れを落とすことができるのでおすすめです。
【定期メンテナンス】定期検診を受ける
インプラント周囲炎を防ぐためや、嚙み合わせの確認をするには、歯科医師のチェックが必須です。
インプラント治療を終えた際に必ず歯科医師より定期メンテナンスの案内があると思いますので、忘れずに続けるようにしましょう。
定期メンテナンスでは、主に以下のことを確認していきます。
- 歯垢・歯石の除去
- インプラント埋入箇所の周辺を確認
- 噛み合わせの確認と微調整
関連記事:インプラントのメンテナンスにかかる費用とは?相場や必要性も解説
【生活習慣】たばこを控える
たばこは血行不良を起こし、インプラントと骨の結合を妨げてしまったり、インプラント周囲炎のリスクを高めてしまうため、できるだけ控えるようにしましょう。
インプラントがうまく結合しないと痛みを起こす原因になり、インプラントが抜け落ちてしまう事態にもなりかねません。
痛みのリスクを回避するとともにインプラントを長く快適に使っていただくためにも、喫煙習慣のある人はできるだけ禁煙を、もしくは本数を減らすことをおすすめします。
【生活習慣】歯ぎしり・食いしばりの癖がある場合はマウスピースを使う
インプラント治療を開始する前に、歯科医師が患者様の食いしばり癖なども確認して、その上で最適なインプラント埋入位置を決めていきます。
しかし、インプラントの有無に限らず、食いしばり癖や歯ぎしり癖のある人は歯に過剰な負担がかかってしまうため、就寝時にマウスピースを使用することをおすすめします。
歯に過剰な力が加わればインプラントにももちろん影響が出ますし、インプラントと接触している歯にも影響が出てしまいます。
インプラント箇所に痛みを感じることがあれば食いしばり癖や歯ぎしりが原因のこともありますので、歯科医師に相談してマウスピースの作成を検討してみましょう。
関連記事:インプラント治療後のアフターケアとは?寿命を延ばすケア方法を全解説
大阪でインプラント治療をするなら本町通りデンタルクリニックへ
インプラント治療を行う際にはそれほど大きな痛みを伴うことはなく、痛み止めなどで充分抑えることができる範囲であることをご説明しました。
それでも、「どうしても治療が怖い、痛みに弱い」という患者様はいらっしゃいます。
本町通りデンタルクリニックでは、そのような患者様の不安にもしっかり寄り添い、適切な処置を行って痛みをできるだけ取り除いて治療を進めていくことが可能です。
インプラント治療後も定期メンテナンスにいらっしゃっていただいている患者様には永久保証もお約束しております。
「インプラント治療を検討しているけど不安が…」という方は一度本町通りデンタルクリニックまでご相談ください。
まとめ
インプラント治療は痛みを伴うのか不安を感じていらっしゃる方に、痛みの程度とその予防法などをお伝えしました。
歯科治療では、親知らずの抜歯の際に「顔が腫れた」「痛みがなかなか治まらなかった」などの症状が出る方が多いと言えます。
インプラント治療は、親知らずの抜歯に伴う痛みよりも痛みの程度は軽い傾向にあると言えます。
もちろん、患者様の体質などによって痛みの程度や長さは様々です。しかし、本町通りデンタルクリニックでは多くの患者様のインプラント治療を担ってきた経験により、その対処法も数多くご提案できます。
治療を始める前に「痛みが怖い」「不安がある」というお気持ちをそのままお伝えいただければ、できる限りご要望に沿えるよう努めます。
治療後に痛みを発症しやすい条件も具体的にお伝えし、快適なインプラント生活を送っていただけるようなアフターフォロー体制を整えておりますので、ぜひ本町通りデンタルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。