インプラントのリスクとは?予防方法や安全なクリニックの選び方

2025.08.13

 

インプラントは、入れ歯やブリッジなどの治療方法とは全く異なる方法で歯を補う治療方法です。

 

入れ歯は治療方法も治療費も手軽ですが、金具が目立つなどのデメリットがあります。ブリッジは健康な両隣の歯も削らなくてはならない点を気にする人が多くいます。

 

インプラントはそのどちらの欠点も補える、画期的な治療法となります。

 

しかし、外科手術を伴うことや、保険が適用されない治療ゆえに高額な治療費が必要という側面もあります。

 

そのため、「もし失敗したら……」「どんなリスクがあるんだろう」と、不安を抱える人も少なくないようです。

 

インプラント治療を受ける際に生じるリスクは、決してゼロではありません。では、インプラント治療におけるリスクとは、どのようなものがあるのでしょうか。

 

具体的なリスク回避方法なども含め、詳しく解説していきます。

インプラントで起こりうる6つのリスク

失った歯の見た目も機能性も回復できるインプラントですが、治療を受けた際に起こりうる6つのリスクについてご説明します。

人為的ミスによる血管や神経の損傷

インプラントは、顎の骨を削り、人工歯根を埋める外科手術を行います。一般的な歯科治療とはまた異なる知識や技術が必要とされ、インプラントの得意な歯科医師と、そうでない歯科医師に分かれてしまうのが現実問題です。

 

保険が適用される治療と違い、自由に価格設定ができるインプラント治療を積極的に行う歯科医院も少なくありません。

 

ゆえに、安全なインプラント治療ができるレベルではない歯科医師が存在するのも、残念ながら現実です。より利益を出すために、設備や施設が不十分なまま治療を行っている歯科医院も中にはあります。

 

インプラント手術は外科手術であるため、充分な知識や経験の無い歯科医師が担当してしまうと、誤って血管や神経を損傷するなどのミスが起きます。

 

そのせいで痛みや痺れ、麻痺などが取れないままになってしまったケースも報告されています。

術後の一時的な痛み

インプラント手術は歯茎を切開して顎の骨を削りますので、どうしても術後は傷口に痛みが生じます。

 

しかし、処方される痛み止めを飲んでおけば生活に支障が出るほどの痛みにはなりませんし、数日で治まる程度ですのでご安心ください。

 

よく「親知らずの抜歯で顔が腫れた」という話を聞きますが、親知らずの抜歯よりもインプラント手術のほうが、腫れたり強い痛みが出たりする患者様が少ない印象です。

金属アレルギーの発症

インプラントで使用する人工歯根や他の部品は、チタン製のものが一般的によく使用されます。

 

チタンは他の外科手術でも多く使用される素材で、生体親和性の高さが保証されています。磁性がないので、金属アレルギーを発症しにくいという長所もあります。

 

しかし、金属アレルギーを持っている方に絶対にアレルギー反応が出ないというわけではありませんので、リスクもゼロではありません。

 

事前にパッチテストを行って、安全性を確保してから手術を行うことでリスクをできるだけ低くすることが可能です。

インプラント周囲炎の発症

インプラント治療を受けたあと、必ず注意しなくてはならない病気が「インプラント周囲炎」です。

 

インプラント周囲炎はインプラント特有の歯周病で、症状が進行すると顎の骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまうこともある怖い病気です。

 

インプラントの部品が埋まっている箇所は、細菌が侵入しやすくなっています。人工歯の周囲に付着したプラーク(歯垢)から細菌が発生し、部品と歯茎の隙間から入り込みます。

 

 

細菌によって痛み、腫れ、炎症、出血などの症状が出ますが、初期の頃は自覚症状が無く、気付いた時にはかなり進行してしまっている可能性があることも厄介です。

 

関連記事:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説

細菌感染による上顎洞炎

インプラント周囲炎の他にも、インプラントによってかかるリスクのある細菌感染があります。

 

鼻の周囲には副鼻腔という空洞がいくつかあります。その中に「上顎洞(じょうがくどう)」という空洞があり、上の歯をインプラントにした場合、手術時に誤って上顎洞に穴を開けてしまうミスがあります。

 

穴が開いてしまうと、そこから細菌が侵入して炎症が起き、頭痛、腫れ、眼痛、鼻づまりなど、副鼻腔炎のような症状が出ます。

 

事前にCT検査などをしっかり行い、上顎洞の位置を正確に把握してからインプラントを埋め込む位置を決めることが大切です。

骨との結合不良

インプラント治療において最も重要な過程は、インプラントと骨の結合です。

 

一般的に入れ歯やブリッジよりもインプラントの機能性が優れているのは、なによりも歯根が骨にしっかりと埋まっているからこそです。

 

ほとんどの患者様は問題なく結合しますが、骨量の少ない人、術後に細菌感染をしてしまった人、喫煙習慣のある人、糖尿病などの持病を持っている人は結合がスムーズに進まないことがあります。

インプラントのリスクが生じやすい人

 

上記で挙げたリスクの多くは、歯科医院選びやご自身のメンテナンス次第でリスクを下げることが可能ですが、中にはリスクが生じやすい人もいます。

基礎疾患がある

先ほど説明した結合不良でも糖尿病などの持病をお持ちの方はリスクが上がることをお伝えしました。

 

糖尿病は細菌感染しやすく、血が止まりにくいという特徴を持っていますので、インプラント手術に限らず、外科手術を受ける際は注意が必要です。

 

他にも高血圧や血友病など、血液に関する疾患を持っている人はかかりつけの医師に必ず相談してからインプラント手術を決めるようにしましょう。

顎の骨が弱い

インプラントは骨に穴を開けて人工歯根を埋めますので、骨密度が低い人や骨量が少ない人も人工歯根の結合に不安が残ります。

 

特に骨粗しょう症の治療薬を長期間服用している人は顎の骨の治癒力が低下している可能性もあるため、要注意です。

 

インプラントを埋める前に、骨量を増やしたり骨を強くしたりする処置をしてから手術を行えるケースもあります。

喫煙者である

喫煙は血管を収縮させたり、血流を悪くしたりしてしまいます。そのため、血中の酸素量などが減り、インプラントと骨の結合を妨げます。

 

糖尿病患者の人と同じように喫煙者も手術後に細菌感染のリスクが高まりますので、インプラント治療をご希望される場合は治療前からの禁煙が推奨されます。

インプラントのリスクを防ぐためのポイント4つ

持病や体質などでインプラント治療を受ける際のリスクが上がってしまうケースもありますが、ご自身でのケアなどでリスクを下げることも充分に可能です。

丁寧に歯を磨く

インプラントにしたからこそのリスク、「インプラント周囲炎」。

 

これを予防するにはまず毎日の歯磨きが最も重要です。インプラントに限らず、歯の健康を守るのは人工歯も天然歯も同じです。

 

「人工歯だからもう虫歯になることは無い」という認識を持たず、口内の衛生にはしっかり気を配りましょう。

 

特にインプラント治療をした周辺は少しの傷でも細菌感染に繋がってしまうので、硬い歯ブラシでゴシゴシとこすってしまうのではなく、毛先の柔らかい歯ブラシを小刻みに動かし、歯と歯茎の間、歯間を丁寧に磨いていきましょう。

 

歯間はデンタルフロスや歯間ブラシを活用するのがおすすめです。

定期的にメンテナンスを受ける

インプラント治療が終わった際、歯科医師のほうから定期メンテナンスの案内を受けると思います。

 

インプラント周囲炎は初期の自覚症状が無いことがありますので、歯科医師の定期的なチェックが必要不可欠です。

 

また、セルフケアだけでは除去しきれない汚れをプロのクリーニングで隅々まで取り除いてもらうこともインプラント周囲炎の予防になります。

 

インプラント箇所の噛み合わせに不具合が出ていないかなども含めたプロのチェックを受けることが、インプラントの健康寿命に直結していきます。

 

関連記事:インプラント治療後のアフターケアとは?寿命を延ばすケア方法を全解説

タバコを控える

先ほどお伝えしたように、喫煙は手術時のリスクも上げてしまいますし、治療が完了したとしても、インプラント周囲炎にかかりやすいのでインプラントの健康寿命を縮めるおそれがあります。

 

歯のためだけではなく様々な病気を招く要因となりますので、喫煙はできるだけ控えましょう。

 

また、インプラント治療を行っている歯科医院で「インプラント保証」をしているところが多くあります。治療完了後に何か不具合が起きた場合、無償で再治療を行うというものです。

 

保証を受ける際の条件として、「定期メンテナンスに来ていること」「喫煙していないこと」などが設定されていることも多くありますのでご注意ください。

インプラントリスクチェッカーを活用する

インプラント手術を受ける際に、血液の状態が手術に適しているかどうかを簡易的に検査できる「インプラントリスクチェッカー」というキットがあります。

 

指先に小さな針を刺して採血し、血液の状態を調べるものです。

 

インプラントリスクチェッカーを扱っているかどうかは歯科医院それぞれですので、治療を開始する前のカウンセリング時などに確認してみましょう。

インプラント治療を受けるクリニックの選び方

 

リスク回避のためになにより大切なのは、安心して治療を任せられる歯科医院かどうか、です。

 

では、どのような判断基準で優良な歯科医院を選んだらいいのでしょうか。

豊富な実績がある

インプラントは、歯科医師免許を持っている医師なら誰でも行うことができる治療です。インプラント治療専用の資格や免許が必要なわけではありません。

 

しかし、インプラントは一般的な歯科知識や技術のみでは対応しきれない分野と言えます。

 

インプラントの知識や経験の豊富な歯科医師とそうでない歯科医師、どちらに治療を任せたいかと問われれば答えは明白です。

 

経験値が豊富であれば、それだけ様々な体質の患者様を診てきていますし、様々な症例、様々なリスクにも立ち会い、対応してきた実績があります。

 

各歯科医院のホームページで実績をチェックしてみたり、国内外のインプラント学会からの認定を受けた歯科医師の在籍などを確認してみたりすると、ある程度の信頼度が確認できると思います。

 

本町通りデンタルクリニックには、インプラント学会から認定を受けたインプラント専門医が多く在籍しておりますので、安心してご相談いただけます。

設備が整っている

インプラント手術をする際には、専用の医療設備も必要となります。一般的な歯科治療で使われるレントゲン検査のみでインプラント手術を行うことは、あまりおすすめできません。

 

歯茎の内部や骨の状態を3Dで捉えられるCT検査機器や、専用の手術室、手術中の体の状態を確認できる生体モニターなど、安心して手術を受けられるだけの設備がどれだけ揃っているかという部分も、とても重要なポイントです。

アフターケアが充実している

インプラント治療後に保証制度を設けている歯科医院も少なくないとお伝えしました。

 

治療時に特に大きな問題の無かった人でも、治療後に思わぬトラブルが起きる可能性もゼロではありませんので、そのような保証制度のある歯科医院を選んでおくこともおすすめです。

 

本町通りデンタルクリニックでも、定期メンテナンスに通ってくださっている患者様には永久保証制度を設けております。

 

インプラントの耐用年数は一般的に10年~15年程度、中には数十年経過していても問題なく使用されている患者様も多くいらっしゃいます。

 

インプラントとは長期的な付き合いとなりますので、同時に歯科医院とも長い付き合いになっていきます。

 

治療後も安心してメンテナンスを依頼できるような制度のある歯科医院を選ぶようにしましょう。

リスクを把握して賢いクリニック選びをしよう

革新的でメリットの多いインプラントではありますが、いくつかのリスクもあること、リスクをできるだけ無くすポイントなどをお伝えしました。

 

まずは「リスクもある」ことを把握・認識してから治療に進んでいただくこと。そしてそのリスクを可能な限り減らしていくことが大切です。

 

逆に、これらのリスクを事前にちゃんと説明してくれる歯科医院であれば信頼できる証とも言えます。

 

決して安価ではないインプラント治療をやみくもにすすめてくる歯科医院よりも、インプラントのリスクやデメリットも正直に伝え、その回避方法や制度を整備している歯科医院を賢く選んでいきましょう。

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