インプラントには抜歯が必要?治療の流れや痛みを和らげる方法

2025.06.19

 

インプラント治療を検討しているけれど、「抜歯が必要なの?」「治療は痛いの?」と不安を感じていませんか。

 

インプラントは、失った歯を補う優れた治療方法ですが、場合によっては治療前に抜歯が必要になることがあります。

 

この記事では、インプラント治療の基本的な流れや、抜歯が必要となる理由、さらに治療中や術後の痛みをできるだけ抑える方法まで、初めての方にもわかりやすく解説します。

インプラント治療には抜歯が必要なの?

インプラントは外傷や虫歯などで欠損してしまった歯に対し、あごの骨に人工の歯根を埋め込み、そこに人工歯を装着する治療です。治療にあたり、患部に歯が残っている場合は、その歯の状態によっては抜歯が必要になります。ここでは、どのような状態のときに抜歯が行われるのか、その代表的なケースを解説します。

「治療しても残すことができない歯」は抜歯が必要

インプラント治療では、「治療しても残すことができない歯」は抜歯が必要です。


たとえば、虫歯や歯周病が進行している歯、炎症や感染がある根が残っている歯、割れてしまっている歯などが対象になります。

 

これらの歯をそのまま放置するとその歯の修復が難しくなったり、インプラント体を埋める際の妨げになったりして、インプラント治療そのものに悪影響を与える可能性があります。


一方で、治療によって機能の回復が見込める歯や、今後も長く使えると判断される歯は、できる限り残す方針がとられます。

 

抜歯が必要かどうかは、レントゲンやCT検査などの画像診断、全身の健康状態をふまえて、歯科医師が総合的に判断します。治療内容や進め方については、不安な点があれば遠慮なく相談し、納得のいく治療を受けましょう。

不要な抜歯をすすめる歯科医院に注意

先述したように、インプラント治療で今後も残して使える健康な歯を抜くことはありません。しかしなかには、インプラント治療が保険適用にならない自費診療であることを利用し、診療報酬を目的に不要な抜歯をすすめる歯科医院も存在します。

 

インプラント治療は特に高額な費用がかかる治療だからこそ、慎重な判断が求められます。少しでも不安を感じた場合は、ほかの歯科医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を活用し、自分にとって本当に信頼できるクリニックを見つけることが大切です。

抜歯後のインプラント治療の流れ

従来、インプラント治療は抜歯後に歯ぐきや骨の回復を待ち、数カ月の期間を置いてから行うのが一般的でした。これは細菌感染を防ぐために必要なプロセスです。

 

しかし近年では、歯科医療の進歩により、抜歯後すぐにインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入法」と呼ばれる治療法の選択も増えてきています。

 

ただし、どの方法が適しているかは、口腔内の状態や全身の健康状態によって異なるため、治療前のカウンセリングでしっかり相談し、自分に合った方法を選ぶことが大切です。ここでは、それぞれの治療法の特徴について詳しくご紹介します。

抜歯即時埋入法とは?

 

抜歯即時埋入法とは、抜歯直後にインプラント体を埋め込む治療法です。

 

抜歯した部位をすぐに洗浄・消毒し、感染リスクを抑えながらインプラント体を埋入。その後は、インプラントの頭部に仮歯や専用のキャップを装着し、インプラント体と骨がしっかりと結合するまで約3~6ヵ月の待機期間を設けます。

 

骨との結合が確認できた段階で人工歯の型取りを行い、最終的なかぶせ物を装着すれば、治療は完了です。

 

抜歯即時埋入法は、外科処置を一度にまとめて行うことで、通院回数や手術の負担を減らせます。すべてのケースで適用できるわけではありませんが、条件がそろえば短い期間で、スムーズに治療を進めることが可能です。

抜歯即時埋入法が適応になるケースの一例

  • 周囲の歯に虫歯や歯周病がない
  • あごの骨に十分な厚みと高さがある
  • 骨とインプラント体がスムーズに結合しやすい状態である

 

抜歯即時埋入法のメリット

  • 治療期間が短い
  • 心身への負担が少ない
  • 骨や歯ぐきが痩せにくい
  • 痛みや腫れが少ない

抜歯即時埋入法のデメリット

  • インプラントのメーカーの対応可否が限定的
  • 高度な技術が必要で対応できる医院が少ない
  • 細菌感染のリスクが高い 

 

抜歯待時埋入法とは?

抜歯待時埋入法は、抜歯後に一定の期間を空けてからインプラント体を埋め込みます。歯ぐきや骨の回復を待ってから治療を進める、以前から広く行われている基本的な方法です。

 

骨量が不足している場合は骨造成などの処置を行いながら、インプラント埋入手術の準備を整えます。外科手術を2回に分けて行うため、治療期間はやや長くなりますが、より確実で安全性の高い治療を目指せます。

 

インプラントを埋め込むタイミングにはさらに3つのパターンがあります。

  • 【早期埋入①】歯ぐきが治癒した段階で行う(約1~2ヵ月後)
  • 【早期埋入②】歯ぐきとあごの骨がある程度回復してから行う(約3~4ヵ月後)
  • 【遅延埋入】抜歯から数年の時間を置いてから行う(数年経過後)

口腔内の状態に応じて、最適なタイミングが選ばれます。

抜歯待時埋入法の適応が望ましいケース

  • 抜歯後に骨造成処置が必要
  • 糖尿病など健康状態にリスクがある
  • 抜歯部位の炎症が強い

抜歯待時埋入法のメリット

  • インプラント治療の適応範囲が広い
  • 細菌感染のリスクが低い
  • インプラントが安定しやすい

抜歯待時埋入法のデメリット

  • 治療期間が長い
  • 心身への負担が増える
    歯がない期間が長い

抜歯後インプラント以外の選択肢はある?

失った歯を補う治療方法は、インプラント治療以外にも「ブリッジ治療」や「部分入れ歯治療」といった選択肢があります。


ブリッジ治療は、抜けた歯の両隣の歯を支えにし、その上に橋を架けるように人工歯を装着する方法です。固定式のため違和感が少なく、噛む力も比較的安定していますが、両側の健康な歯を大きく削る必要がある点がデメリットです。

一方、部分入れ歯治療は、取り外し可能な義歯で歯を補う方法です。残っている歯に金属製のバネを引っかけて固定する部分入れ歯が一般的で、費用も比較的安価です。また、自分で取り外しができるのでお手入れがしやすいといった利点もあります。

 

半面、硬いものが噛みにくい、審美性が低いといった点がデメリットです。


このように、失った歯を補う治療方法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、ライフスタイルや口腔の状態に合った方法を選びましょう。

 

抜歯とインプラント手術はどちらのほうが痛いの?

 

抜歯もインプラント手術も局所麻酔を使用するため、施術中の痛みはほとんどありません。ただし、虫歯や歯周病などで炎症がある状態での抜歯は、健康な状態で行うインプラント手術より痛みを感じやすいこともあります。

 

万が一麻酔の効きが弱いと感じたときは、麻酔を追加することもできるので安心して治療を受けましょう。

 

また、ドリルの音や振動が怖いと感じる場合には、鎮静剤を使ってリラックスした状態で治療を受けられる方法もあります。不安が強い方は、事前に歯科医に相談してみましょう。

腫れや痛みを和らげるための対策

インプラント手術や抜歯後は、麻酔が切れたあとに痛みが出たり、患部が腫れたりすることがあります。これは傷を治そうとする自然な反応で、ほとんどの場合は数日~2週間程度で落ち着きます。ただし、痛みや腫れが長く続く場合は早めに歯科医院へ相談しましょう。ここでは、こうした痛みや腫れを和らげるための対策について紹介します。

痛み止めを飲む

痛みを無理に我慢すると、ストレスや不安が増し、回復にも影響を与えることがあります。患部の痛みには、医師から処方された痛み止めを適切に使って体への負担を軽くしましょう。

 

痛み止めは、痛みを和らげるだけでなく、腫れや炎症を抑える働きもあります。特に術後2~3日は痛みが出やすいため、決められたタイミングで飲むことで、症状を軽減しやすくなります。

硬い食べ物を食べない

術後は、患部がとてもデリケートな状態になっています。硬いものを噛むと傷口に刺激を与えてしまい患部にダメージを与える原因となるため、食事はやわらかく消化の良いものを選びましょう。

 

また、過度な熱さの食べ物や辛いもの、香辛料なども刺激となるため、避けるのが無難です。術後しばらくは、うどんやおかゆ、ヨーグルトなど、口当たりがやさしく、負担の少ない食べ物を中心に摂ることをおすすめします。

飲酒や激しい運動を控える

抜歯やインプラント治療のあとは、飲酒や激しい運動を控えましょう。アルコールや運動によって血流が促進されると、痛みや腫れが悪化したり、傷口からの出血が止まりにくくなったりする恐れがあります。

 

また、出血が続くと、傷口がふさがりにくくなり、細菌感染のリスクも高まります。治療後しばらくは、できるだけ体を安静に保ち、ゆったりと過ごしましょう。

まとめ

インプラント治療を受ける際、抜歯は必ずしも必要とは限りません。治療の進め方は口腔内の状態や健康状況によって異なります。また、インプラント治療以外にもブリッジ治療や入れ歯治療などの選択肢があるので、まずは自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。

 

成功の鍵は、信頼できる歯科医院を見つけること。治療の流れや痛みへの不安、費用など気になることをしっかり相談し、納得できる治療を受けましょう。

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