インプラント手術後の腫れは心配ない!腫れる理由・正常な腫れの目安と対処法

2025.06.14

 

インプラント手術のあと、歯茎や頬が腫れて不安になっていませんか?

 

手術後に腫れるのは、ある程度であれば正常な反応です。歯科医師の指示に従い適切なケアを行なえば、数日で治まることがほとんどです。

 

ただし、腫れの程度や続く期間によっては注意が必要なケースもあります。

 

この記事では、インプラント手術後に腫れる理由、正常な腫れの目安と注意すべき症状、腫れや痛みを和らげる方法、さらに腫れ以外に気を付けたい体のサイン(症状)について、わかりやすく解説します。

インプラント手術後に腫れる理由

インプラント手術後の腫れは、体が回復しようとする過程で起こる自然な免疫機能の一部です。多少の腫れは治療の過程で見られる正常な反応なので、過度に心配する必要はありません。

 

以下に、インプラント手術後に起こる自然な免疫反応、腫れや痛みの程度、腫れが続く期間について説明します。

自然な免疫反応

私たちの体にはウイルスや細菌などの異物から身を守り、傷ついた組織を修復しようとする免疫機能が備わっています。

 

インプラント手術では、歯茎を切開してインプラント体(人工歯根)を埋め込むといった処置が行なわれますが、こうした処置は体の組織を傷つける行為です。

 

そのため、手術によって生じた傷口を直そうとする自然な免疫反応として炎症が起こり、腫れや痛みが現れます。

腫れや痛みの程度

腫れや痛みの強さは、患者の体質やインプラント手術の内容によって変わってきます。

 

例えば、1〜2本のインプラント体を埋め込む比較的簡単な手術であれば、痛み止めや事前に抗生物質を服用することで、腫れや痛みがほとんど気にならない場合もあるでしょう。

 

しかし、多数のインプラント体を一度に埋め込んだ場合や、骨や歯茎の移植をともなう手術など、手術の範囲が広い、または複雑なケースでは、腫れが強くなる可能性があります。

腫れが続く期間

インプラント手術後の腫れは、通常、手術後2〜3日で最も強くなり、その後は徐々に治まり、1週間以内に改善することがほとんどです。

 

ただし、歯茎や骨に対して移植などの追加処置を行なった場合は、腫れが1週間から10日ほど続くことがあります。

 

また、手術が複雑で広範囲になるほど腫れが強くなり、回復までに期間がかかる傾向があります。

 

腫れが最も強くなる期間は、歯科医師の指示に従い安静に過ごしましょう。

正常な腫れの目安と注意すべき症状

腫れの程度や期間には個人差がありますが、以下のような症状であれば、正常な範囲内と考えられます。

 

  • 腫れのピーク:手術後2~3日程度
  • 腫れが続く期間:1週間~10日程度
  • 痛み:処方された薬(痛み止め)で軽減できる

 

一方、次のような症状が見られる場合は、細菌感染やインプラント周囲炎の可能性があります。放置せずに、速やかに手術を受けた歯科医院へ相談しましょう。

 

  • 手術後1週間以上経過したあとで腫れや痛みが強くなる
  • インプラントの周囲から血や膿が出る

 

なお、インプラントは構造的に天然の歯に比べて感染症にかかりやすいため、口内を常に清潔に保つことが大切です。特にインプラント周囲炎と呼ばれる感染症は進行が早いので十分注意しましょう。

腫れや痛みの対処方法

 

インプラント手術後の腫れは、自然な免疫反応で起こるため避けることはできませんが、腫れや痛みを和らげることは可能です。

 

以下に、インプラント手術後の腫れや痛みの対処法を説明します。

処方された薬をきちんと飲む

手術後は、感染予防のための抗生物質や痛みを和らげる鎮痛剤などが処方されます。これらの薬は歯科医師の指示に従い、用法・用量を守って正しく服用しましょう。

 

処方された薬をときちんと飲むことが、手術後の腫れや痛みを抑え、順調な回復を促すための重要なポイントです。

 

また、処方された薬は指示どおりに最後まで飲み切ることが大切です。たとえ腫れや痛みが治まってきたように感じても、自己判断で服用を止めると、薬で抑えられていた症状が現れる可能性があります。

患部を冷やす

処方された薬を正しく服用していても腫れが強い場合は、濡らしたタオルを頬の外側から軽く押し当てて、患部を冷やすと腫れや痛みを抑えられます。

 

氷や保冷剤を使用する際は、直接肌に触れないようにタオルなどで包み、軽く頬に当てるようにしましょう。

 

保冷剤を直接頬に当てたり、氷を口に含んで冷やしたりすることは避けてください。

 

患部を冷やし過ぎると血行が悪くなり、インプラントと骨が結合しにくくなる可能性があります。

血流が増加する行動は避けて安静に過ごす

手術後は激しい運動や重労働、長時間の入浴、サウナ、飲酒など、血流が増加するような行動は避けましょう。

 

血流が増え過ぎると、患部の腫れや痛みが悪化したり、出血しやすくなったりするおそれがあります。

 

特に、ランニング、球技、筋力トレーニングなどの激しい運動は、体力の消耗につながり、免疫力の低下によって回復が遅れる原因にもなってしまいます。

 

手術当日から2〜3日間はこれらの行動を控え、できるだけ安静に過ごすように心がけてください。

 

入浴はシャワー程度にとどめ、力仕事や立ち仕事が多い場合は、無理をせず、休暇を取ることをおすすめします。

口内を清潔に保つ

インプラントには天然の歯にある歯根膜が存在しないため、細菌が侵入しやすいという特徴があります。そのため、手術後は細菌感染を防ぐために、口内を清潔に保つことが大切です。

 

歯磨きをする際は、手術した部分を避けて、それ以外の箇所は通常どおり丁寧に磨きましょう。手術した箇所については、うがい薬を使って優しくすすぐと効果的です。

 

歯ブラシなどで患部を刺激すると、傷口が開いてしまうおそれがあるため、十分に注意してください。

 

なお、喫煙は傷口の回復を遅らせ、感染リスクを高めるなど悪影響をおよぼすことが多いため、控えるようにしましょう。

傷口を触らない刺激しない

手術後の歯茎は、傷口が完全に回復するまで非常にデリケートな状態が続きます。

 

この期間に指や舌で患部に触れると、雑菌が入り込んで腫れや痛みの悪化をまねく原因になることがあります。腫れが気になったとしても、患部に触ったり押したりしないように注意しましょう。

 

また、手術直後のインプラントはまだ骨にしっかりと結合しておらず、とても不安定な状態です。この段階で強い力が加わると、インプラントがぐらつく原因になりかねません。

 

なるべく患部を刺激しないように注意することで、回復を妨げるようなトラブルを避けられます。

食事に気を付ける

手術直後は、硬いもの・熱いもの・辛いものなど刺激の強い食事は避けましょう。

 

これらの食品は患部を直接刺激したり、血行を促進してしまったりするため、腫れや痛みを悪化させる原因になることがあります。食事内容に配慮することで、患部への負担を最小限に抑えられます。

 

手術後しばらくは、やわらかく、適温で、香辛料控えた食事が理想的です。熱いおかゆやスープなどは、よく冷ましてから食べるようにしてください。

腫れ以外に気を付けたい体のサイン

 

インプラント手術後は、腫れ以外にも気を付けたい症状がいくつかあります。以下の症状に該当する場合は、手術を受けた歯科医院に早めに相談し、診察を受けましょう。

出血が続く

インプラント手術後に出血が見られることがありますが、少量であれば問題ありません。

 

ただし、出血が続く場合や出血量が多い場合は、清潔なガーゼなどで軽く圧迫して止血を試みましょう。

 

それでも出血が止まらない場合は、速やかに歯科医院で診察を受けてください。

 

なお、インプラントを上顎の奥歯に埋め込んだ場合、手術後に鼻血が出ることもあります。これも一時的な症状であることが多いですが、鼻血が続くようであれば、歯科医院に相談しましょう。

口もとにしびれや麻痺が残る

手術直後は麻酔の影響で口もとにしびれを感じることがありますが、麻酔の効果は数時間で消えるため、通常は心配ありません。

 

しかし、手術後しばらく経っても口もとにしびれや麻痺の症状が残っている場合は、神経に何らかのトラブルが発生している可能性があります。

 

徐々に症状が落ち着いてくるようであれば大きな問題はないと考えられますが、改善が見られない場合は、早めに歯科医院で診察を受けてください。

インプラントを埋め込んだ部分に違和感がある

インプラント治療では、術後の腫れが引いたあとでもしばらく軽い違和感が続くことがあります。

 

これは、傷口の回復が表面だけでなく、内部でも徐々に進んでいるためです。見た目は治っているように感じられても、内部ではまだ完全に回復していないことは珍しくありません。

 

ただし、手術後1~2週間経っても違和感が改善しない場合は、炎症や神経への影響など、何らかのトラブルが起きている可能性も考えられます。

普段と違う症状が現れる(薬の副作用)

手術後に処方された薬を服用したのち、皮膚の発疹やかゆみ、下痢など普段と違う症状が現れた場合、それは薬の副作用かもしれません。

 

特に抗生物質(抗菌薬)は、アレルギー反応を引き起こすことがあるため注意が必要です。

 

薬の副作用が疑われる場合は、自己判断で薬の服用を中止したり症状を放置したりせずに、歯科医院に相談するようにしましょう。

まとめ

インプラント手術後の腫れは、体の自然な免疫反応によるものなので、過度に心配する必要はありません。腫れのピークは手術後2~3日程度で、通常は1週間~10日程度で落ち着きます。

 

腫れや痛みを和らげるには、処方された薬を正しく服用することに加え、患部を冷やす、安静に過ごす、口内を清潔に保つ、傷口を刺激しない、食事に気を付けるといった対処法が有効です。

 

腫れや痛みのほかにも気になる症状がある場合は、自己判断せず、できるだけ早めに歯科医院を受診しましょう。

PAGE TOP PAGE TOP