インプラントで噛むと痛い原因は?対処法や予防法も解説

2025.04.25

 

インプラントは、抜歯後に顎の骨に人工歯根を直接埋める治療法です。入れ歯やブリッジと違って隣接している歯に頼らず自立しているため、強度があって周囲の歯への影響が少ない画期的な治療法としてとても人気があります。

 

しかし、稀にインプラントに不具合が起きてしまうケースもあります。インプラントの部分に痛みを感じるときは特に注意が必要です。

 

痛みを感じる原因として考えられるもの、そしてそうならないための対処法や予防法も併せてご紹介していきます。

インプラントで噛むと痛い原因

インプラントは顎の骨としっかり結合していますので、良好な状態ならものを噛む圧力がかかったくらいで痛みを感じることはまずありません。

 

痛みを感じるのは、顎の骨の中や歯茎の中で何かしらの不具合が生じている証拠です。どのような不具合が考えられるのか、その原因を挙げていきます。

インプラント周囲炎による炎症

インプラントを埋めている患者様の中で起こりやすいトラブルのひとつに、「インプラント周囲炎」というものがあります。

 

インプラントは顎の骨と歯茎の中に金属製の部品が埋め込まれているので、その隙間に細菌が入り込みやすくなっています。インプラント治療を行った歯科医院でも必ず注意事項として歯磨きをしっかり丁寧に行うアナウンスがあったはずです。

 

しかし、虫歯と同じように、歯磨きをしっかり行っているつもりでも実は綺麗に磨けていなかった、ということは起こり得ます。プラークなどに含まれている細菌がインプラント箇所に入り込み、炎症を起こしてしまう症状を「インプラント周囲炎」といいます。

 

これはインプラント特有の歯周病で、初期段階では症状に気付きにくい特性があります。痛みを感じてしまう段階になるとかなり症状が進行してしまっている可能性も考えられます。

 

炎症が進行していると顎の骨が溶けていってしまうので、インプラントがグラついたり脱落したりしてしまうことにも繋がります。

 

また、不十分な歯磨きでプラークが溜まってしまう以外にも、インプラント周囲炎に繋がる原因はいくつかあります。

  • 喫煙習慣がある
  • 糖尿病を患っている
  • 貧血の傾向がある
  • 歯ぎしりや食いしばり癖がある
  • 他の歯に歯周病がある

 

関連記事:インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説

 

噛み合わせの乱れ

インプラント治療の際に、担当歯科医師のほうで嚙み合わせの調整も必ず行っていますが、噛み方の癖や加齢などで歯の位置は少しずつ変わっていきます。

 

そのせいで嚙み合わせにズレが生じていると、インプラントの部分に過度な圧力が加わっている状態が続き、痛みが発生している場合があります。

 

インプラントの部分のみではなく、この場合は他の歯にも余計な負荷がかかっていることがあるため、全体的な歯の位置の修正が必要になることもあります。

インプラントの結合不良

インプラントの人工歯根に使用しているチタンは生体親和性が高く、骨や歯茎と結合しやすい特性を持っているため、インプラントの部品として主に使用されています。

 

手術をした直後から数ヶ月間はしっかりと結合がされているか経過観察をする期間を設け、問題が起きていないか確認がされてから治療は終了となります。しかし、そのあとから結合不良が起きてしまうことが稀にあります。

 

結合不良が起きていると、顎の骨にインプラント体がしっかりと密着せず、グラつきがあるため、ものを噛んだ時に痛みが生じている可能性が考えられます。

そのままの状態で使用し続けるとインプラント体が脱落してしまうことにも繋がってしまいます。

 

治療完了後に結合不良が起きてしまう原因としては以下のものが考えられます。

  • 骨密度の不足
  • 喫煙習慣
  • 歯科医師の技量不足
  • インプラント周囲炎

インプラントで噛むと痛いときの対処法

 

では、インプラント部分に痛みを感じるようになった場合、どのように対処すればいいのでしょうか。

速やかに歯科医院を受診する

インプラントに痛みが生じているということは、明らかに内部で不具合が生じています。放置は絶対にせず、できるだけすぐ歯科医院で状態を診てもらうようにしてください。

 

インプラント手術・治療を行った歯科医院で診てもらうのがベストですが、予約が混みあっていて直近の予約可能日が先になってしまう場合は、他の歯科医院でも結構です。インプラント治療を行っている近隣の歯科医院へすぐに行きましょう。

とにかく1日でも早く検査をして、状態をチェックして原因を判明させることが先決です。

インプラントの状態を悪化させない

インプラントの歯根部分で不具合が起きている状態では、その部分に負荷をかけないようにしましょう。

 

痛みがあるということは中で炎症が起きている可能性が高いので、その状態でものを噛んだりすると更なる炎症の悪化、出血、インプラントの脱落にも繋がります。

 

できるだけインプラントの部分でものを噛まないように、安静にして受診日まで過ごすことを心がけましょう。

インプラントの周囲は優しく磨く

インプラントの内部で炎症が起きていたり、グラつきが出ていたりする場合は歯磨きをする際もご注意ください。強い力や刺激を与えてしまうと症状が悪化するおそれがあるからです。歯間ブラシなどで強くこすってしまうこともあまりおすすめできません。

 

かといって「歯ブラシでこすらない」という選択をするのではなく、歯茎を傷つけないよう、柔らかい歯ブラシで優しく丁寧に磨きましょう。

 

細菌を少しでも減らすために、抗菌作用のあるマウスウォッシュやうがい薬などを使用するのも効果的です。

 

痛みのある箇所の歯をあまり使わず、歯磨きの際も強い力を加えないように気を付けて受診日を待つのが適切な対処法となります。

インプラント治療後の痛みを防ぐための予防法

 

高い費用と長い治療期間をかけてせっかく受けたインプラント治療ですので、快適な口腔環境をぜひ手に入れていただきたいと思います。そして、できるだけ長くお使いいただくためには、どのようなことに気を付けていけばいいのでしょうか。

 

インプラントに不具合が起きにくい過ごし方とポイントをお伝えします。

セルフケアを徹底する

インプラントは人工歯だから虫歯にならない、だから歯磨きも適当でいい、という認識は間違いです。先ほどお伝えしたように、歯茎と部品の隙間から細菌が入り込みやすく、インプラント周囲炎になるリスクがあります。

インプラントを入れた箇所も、他の歯と同じように毎食後に必ず丁寧に隅々まで歯磨きをするよう、心がけましょう。

 

歯茎を傷めてしまうことはいけませんので、あまり固すぎない、小さなヘッドの歯ブラシで小刻みにブラッシングすることがコツです。

 

歯と歯の間には歯ブラシの先端が入りにくいので、歯間ブラシやデンタルフロスを使用して磨き残しが無いように徹底しましょう。

定期的にメンテナンスを受ける

インプラント治療の最後にこちらも案内があると思いますが、治療後も定期的なメンテナンスが必須となります。

 

特に、初期症状に気付きにくいインプラント周囲炎は、このような機会に歯科医師にチェックしてもらうことが早期発見の最も大きな鍵となります。

 

その他、歯ブラシでは届かない箇所のクリーニングや、嚙み合わせに変化が出ていないかなど、細かくチェックしていきます。

インプラントの中の状態など、目視では分からない部分も必ずチェックが必要ですので、レントゲンやCT検査などもしっかり行っていきます。

 

他のどんな病気も同じですが、とにかく早期の発見が最も重要です。長く快適なインプラント生活を送っていただくには、プロのチェックを定期的に受けていただくことが大切です。

インプラントに負担がかかる行動を避ける

術後すぐは、埋め込んだ部品と骨や神経が結合していない状態ですので、仮歯が入っているとはいえあまり患部に負荷をかけないように気をつけましょう。歯を食いしばりやすい激しい運動や力仕事も避けたほうが無難です。

 

インプラントは、自分の歯の咀嚼力と比べて80~90%程度の咀嚼力となります。結合を待つ期間が終わって治療が完了した後も、インプラントの部分で固いものを噛むことは避けたほうがいいでしょう。

 

ただし、噛むことを完全に避ける必要はありません。適度な振動が顎の骨に伝わることは骨や筋力を鍛えることにもなりますので、とても固いものを噛むことを避ける程度で大丈夫です。

インプラント周囲炎の予防に注力する

インプラント治療を受けた場合に最も注意しておくべきことは、やはりインプラント周囲炎です。インプラントが抜け落ちてしまったり、顎の骨が溶けてしまったりすることにも繋がる怖い病気ですので、インプラント周囲炎のリスクを高めてしまうような生活習慣は見直しましょう。

 

適切でない歯磨き方法、喫煙、睡眠不足、糖尿病に繋がるような食生活、そして定期検診を受けないことはインプラント周囲炎のリスクが上がってしまいます。

まとめ

インプラントを入れた箇所に痛みを感じる際の原因と対処法などについてお伝えしました。

 

インプラントに限らず、入れ歯であっても、ブリッジであっても、痛みを感じるということは必ずどこかに不具合が生じている証拠です。むしろそれは天然歯であっても同じことです。

特に口の中は脳の神経と近いため、痛みが少しでもあると眠れなくなったり集中力が落ちたります。

 

歯茎の中までは治療を施していない入れ歯やブリッジと比べて、インプラントは大きな外科手術を経ていますので、痛みがある場合はとにかくすぐに歯科医院に行くことが最も重要です。

 

逆に言えば、「インプラントを守る生活習慣を続けられる自信がない」と思う方は、入れ歯やブリッジを選択していただくこともひとつです。

 

本町通りデンタルクリニックでは、多くの患者様の様々なお口環境の改善に尽力してきました。それらの経験値をもとに、患者様にとってベストな選択になるお手伝いをしています。

 

「他の歯科医院でインプラントの治療をしたけど痛みが出てきた」という方も、ぜひご相談ください。

PAGE TOP PAGE TOP