インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」とは?おもな症状や原因、予防法などを徹底解説

2025.02.12

 

インプラントも天然歯と同じように、歯周病になる可能性があることはご存知ですか?

インプラント治療後のケアが不十分で、インプラントによる歯周病「インプラント周囲炎」になってしまうケースが増えてきています。

 

本記事では、「インプラント周囲炎」とはどのような症状なのか?疾患が起こる原因や予防法について、解説していきます。

インプラントの人工歯も歯周病になる?

「インプラントは人工歯だから、歯周病にはならない」と思っている方もいるかもしれませんが、それは誤りです。

 

天然歯と周囲の歯茎や骨などに起こる炎症が歯周病ですが、インプラントが顎の骨に定着した部分の周囲でも炎症が起きます。

これを「インプラント周囲炎」と呼びます。

 

インプラントと歯茎の間の「ポケット」と呼ばれる隙間にプラーク(歯垢)が溜まり、歯周病菌が増殖してしまうことが、炎症のおもな原因です。

 

また、インプラントは天然歯に比べて炎症への抵抗力が10~20倍も弱いといわれており、一度感染すると急速に症状が進んでしまうリスクがあります。

【段階別】インプラント周囲炎の症状

インプラント周辺の歯周病の進行度は、「インプラント周囲粘膜炎」と「インプラント周囲炎」の2つのフェーズに分かれます。

 

それぞれの症状を見ていきましょう。

【第一段階】インプラント周囲粘膜炎の症状

インプラント周囲粘膜炎とは、インプラント周囲の粘膜だけで炎症が起きた状態で、インプラント周囲炎の初期段階にあたります。通常の歯周病でいう歯肉炎の状態のようなものです。

 

 

インプラント周辺の歯茎が赤く腫れたり、歯を磨いたときに出血したりすることもありますが、痛みなどの症状がないことから、炎症が起きていることに自覚してない方も珍しくありません。

 

また、口臭が気になることもあります。プラーク(歯垢)がインプラント周辺に溜まり、蓄積することが原因です。

 

症状の進行が早く、気付いたときには第二段階である「インプラント周囲炎」になっていることも多いため、歯茎の腫れや違和感、出血があった場合、速やかに歯科医院を受診するようにしましょう。

 

【第二段階】インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲粘膜炎が進行し、炎症が周囲の粘膜から歯茎を支える歯槽骨に広がった状態が「インプラント周囲炎」です。

 

 

歯槽骨の炎症が進むと、歯茎からの出血に加えて膿が出たり痛みや違和感を覚えたりするようになり、やがては顎の骨が溶けていきます。

 

一度溶けてしまった歯槽骨は元に戻ることはなく、さらに炎症が進行すると、顎の骨がインプラントを支えられず、インプラントのぐらつきや、脱落につながることも。

 

先述したとおり、インプラントは天然歯と比べて炎症への抵抗が弱く、通常の歯周病より進行のスピードが速い傾向にあります。

現在の状態が、インプラント周囲粘膜炎なのか、インプラント周囲炎なのか、早めに診断を受けたうえで治療を始めることが大切です。

インプラント周囲炎の原因と、罹患しやすい方の特徴

 

日々の口腔ケアが適切にできていないことで、口腔内が不衛生な状態になり、歯周病菌が増殖してしまうため、インプラント周囲炎が引き起こされます。

歯磨きがきちんとできていない場合はもちろん、メンテナンスを定期的に受けていない場合も、自分では落としきれない汚れが溜まっていくので、歯周病菌が増殖してしまいます。

 

他にも、インプラント周囲炎は、全身の疾患や生活習慣、体質などとも関係しています。

以下に該当する方は、特に注意が必要です。

喫煙習慣がある

喫煙により、歯茎の毛細血管が収縮し血流が悪くなるため、手術後の傷の回復が遅れたり、インプラントと骨が結合しにくくなったりします。

 

また、タバコに含まれる成分の一つであるニコチンは、免疫力を低下させるため、インプラント周辺が細菌に感染する可能性も高まります。

糖尿病を患っている

糖尿病を患っている方は、高血糖により免疫力が低下しているため、インプラント手術後に感染症を起こしやすい傾向にあります。

 

血糖コントロールが良好であればインプラントの治療は可能と考えられますが、そうでない場合は細菌に感染しやすくなるため、インプラント周囲炎になるリスクが高くなるでしょう。

貧血の傾向がある

貧血は血液中に酸素を運ぶヘモグロビンが減少し、全身に酸素が行き渡らなくなってしまう状態です。

 

これによって体内の組織が酸素不足になると術後感染症をまねきやすくなり、結果的にインプラント周囲炎になるリスクが上がることになります。

歯ぎしりや食いしばり癖がある

歯ぎしりや食いしばりは、眠っている間など、無意識のうちにしてしまっているケースが多くあります。歯や顎の骨にかかる負担は大きく、その負荷は体重の2~3倍ともいわれています。

 

また、ダメージを受けた歯の周囲の組織は炎症を起こしやすくなるため、インプラント周囲炎が起こる可能性があるのです。

天然歯の歯周病が完治していない

天然歯の歯周病が完治していない方は、口腔内に歯周病菌を含む細菌が多く存在している状態のため、インプラント周囲炎にかかりやすい状態といえます。

インプラント周囲炎を予防する方法

 

インプラント周囲炎を発症させないためには、以下3つの予防方法が重要となってきます。

歯科医院で定期的なメンテナンスを受ける

インプラントは、一度入れたら終了という治療ではありません。天然歯よりも歯周病の進行のスピードが速いことから、治療後の定期的なメンテナンスは必要不可欠です。

 

定期メンテナンスでは、セルフケアだけでは落としきれない汚れのクリーニングだけでなく、レントゲンでインプラントの土台となる顎の骨の状態も確認します。

 

インプラント周囲炎の予防や、早期発見のために、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けるようにしましょう。また、治療を始める前には、メンテナンスに通い続けられるように通院しやすい歯科医院を選ぶことも大切です。

日々の口腔ケアを徹底する

歯科医院でのメンテナンスと併せて非常に重要になってくるのが、日々の口腔ケアです。丁寧なブラッシングで、インプラントと歯茎の間に溜まったプラーク(歯垢)をしっかりと除去し、口腔内の清潔を保ちましょう。

 

ブラッシングをする際は、以下の点を意識してみてください。

  • 毎日こまめに、じっくりと時間をかけてブラッシングする
  • 先細タイプの歯ブラシで、歯と歯茎の間に溜まったプラーク(歯垢)を掻き出す
  • 人工歯の根本のくびれ部分を重点的に磨く

また、歯磨き粉ですが研磨剤や顆粒の入ったものは、避けたほうがよいでしょう。

研磨剤や顆粒の粒子がインプラントと歯茎との間に入り込み、炎症をまねくケースがあるためです。

 

なお、フッ素入りの歯磨き粉は使用しても問題ありません。フッ素には、歯の質を強くしたり、唾液の再石灰化を促したりする効果が期待できます。口腔内を清潔に保ち周囲の歯も良好に維持できるのもメリットです。

 

また、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を使用して、歯ブラシが届かない箇所のケアも忘れずに。歯ブラシだけで落とせる汚れは6割程度といわれているため、今まで歯ブラシだけで歯磨きを終えていた方も、意識的に取り組んでいきましょう。

インプラント周囲炎と関連する生活習慣を見直し、必要に応じて治療を受ける

喫煙など、インプラント周囲炎にかかるリスクが高くなる習慣がある方は、まずは生活習慣を見直すことが重要です。

 

特に喫煙は全身の健康にも悪影響を及ぼすため、自力での禁煙が難しい方は禁煙外来に通うことも検討してみてください。

 

また、糖尿病や貧血などの持病がある場合は、定期的に受診し病気をコントロールすることが大切です。また、インプラント治療を行なう前には主治医にその旨を相談しましょう。

 

歯ぎしりや食いしばりは歯科医院で相談可能です。必要に応じて就寝時のマウスピースの装着が検討されるでしょう。

まとめ

インプラント周囲炎は、気付かないうちに起きて、速く進行してしまう炎症です。「歯茎から膿が出る」「インプラントがぐらつく」などの進行した状態になる前に、予防をしていくことが大切になります。

 

インプラントの寿命を延ばすためには、日々の口腔内ケアと歯科医院への定期的な受診が不可欠です。インプラント治療を検討されている方は、ぜひ大阪の本町通りデンタルクリニックにご相談ください。

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